ついにスペースX(Space Exploration Technologies)が上場します。
NASDAQに「SPCX」のティッカーで、2026年6月12日の取引開始が見込まれています。
想定時価総額は 1.75兆〜2兆ドル、調達額は最大で約750億ドルと、サウジアラムコを大きく上回る史上最大級のIPOになる見通しです。
「赤字なのに高すぎないの?」
「初値はいくらで、買うべきなの?」
上場前に気になるポイントを、業績・財務データとバリュエーションの両面から整理します。
※本記事は2026年6月初旬時点の公開情報(S-1届出書・各種報道)に基づくものです。正式な公開価格レンジはロードショー(6月上旬予定)で決まるため、数値は目安としてご覧ください。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. スペースXとはどんな会社か(事業内容)
スペースXは2002年にイーロン・マスク氏が設立した宇宙開発企業で、いまや単なる「ロケット会社」ではありません。
おおむね3つの事業が柱として示されています。

- ロケット打ち上げ事業:
- 再使用可能ロケット「ファルコン9」を中心に、NASA最大の打ち上げパートナー。
- 次世代機「スターシップ」を開発中。

- スターリンク(Starlink):
- 約1万基の衛星による衛星インターネット。
- 2025年の売上の約61%(114億ドル)を占める最大の収益源で、上場後の評価を支える中核。

- xAI/X:
- 2026年2月にAI企業xAI(旧Twitterの「X」を傘下に持つ)と統合。
- AIと宇宙・通信が一体化した「マスク経済圏」の中核企業になりました。
業種が「通信」に分類されるのは、収益の柱がスターリンクという通信サービスだからです。
投資対象としては「宇宙+衛星通信+AI」の複合体と捉えると分かりやすいでしょう。
2. 今後の株価考察
ファンダメンタル分析
① 業績推移(単位:百万ドル)

売上は3年で約1.8倍、直近も前年比+33%と高成長です。
一方で最終損益は2024年に一度黒字化したものの、2025年は約49億ドルの最終赤字に逆戻りしました。
赤字拡大の主因はxAIを中心としたAI関連投資(四半期あたり約25億ドルの損失)です。
なぜ今IPOするのかというと、事業の売上収益が安定し、黒字経営できる段階になったからと言われています。
そのため、現時点では赤字に見えますが、これからの業績は黒字経営が見込まれており高い期待がされています。
② 収益性

2025年はROEが大幅マイナス。これは自己資本が薄い状態で赤字を計上したためで、財務レバレッジの高さを物語ります。
ただし会計上の赤字には巨額の減価償却・株式報酬が含まれており、調整後EBITDAでは約66億ドルの黒字とされる点は見逃せません。
「現金は稼いでいるが、会計上は赤字」という成長期特有の構図です。
③ 財務・キャッシュフロー(百万ドル)

本業のキャッシュは潤沢に生み出す一方、それを大きく上回る再投資を外部調達で賄っている段階です。
自己資本比率8.3%は財務的に厚いとは言えず、成長が止まれば調達コストが重荷になり得ます。
買い/売り判断のポイント
- 強気材料:
- スターリンクの規模拡大と高成長、打ち上げ市場での圧倒的シェア、スターシップ・xAIという将来オプション、EBITDA黒字。
- 弱気材料:
- GAAP赤字とAIの巨額キャッシュ流出、薄い自己資本、累積赤字、マスク氏個人への依存。
公開価格(公募価格)はいくらになる?
【速報】
スペースXは12兆円規模のIPO目指す、目標価格1株135ドルに決定しました。
当初は上場前日の6月11日に価格を決める見通しでしたが、約1週間前倒しで6月3日に提示され、6月11日に最終確定。
しかも通常のような価格レンジ(仮条件)を出さず、最初から「135ドル固定」でロードショーを行うという、米国の大型IPOでは異例の手法が取られました。
数字を整理すると以下のとおりです。
- 公募価格:1株 135ドル(1ドル155〜160円換算で約2.1〜2.2万円)
- 放出株数:約5億5,560万株
- 調達額:約750億ドル(約12兆円)。オーバーアロットメント(追加売り出し)を含めると最大約860億ドル(約13.8兆円)
- 目標時価総額:少なくとも1.75兆ドル(約283兆円)
- 日本国内向け:公募株数 約1,630万株、吸収金額 約3,500億円
1株135ドルは、2026年2月の5:1株式分割で調整された公正市場価格(約105.32ドル)を上回る水準で、上場時の高い評価(1.75兆ドル超)を織り込んだ価格です。
なお2025年後半の従業員向けセカンダリー取引「約420ドル」は分割前の価格で、分割後では約84ドル相当にあたります。
135ドルはそれらより高い、強気のプライシングといえます。
需要は記録的で、報道では個人投資家からの注文が1,000億ドル(約16兆円)超に達し、ブラックロックなど機関投資家も大口注文を入れたと伝えられています。
一部では初値が公募価格を上回る(初値予想135〜165ドル、3〜4割上昇の見方も)と報じられていますが、超大型ゆえに需給は読みにくく、初値が公募価格を割るリスクもゼロではありません。
あくまで「人気が先行している」状態である点は冷静に押さえておきましょう。
初値はいくらになる?
- $135の固定価格に対し
- →強気予想:初値$200超(+48%)
- →中立予想:$140〜180前後
- →弱気予想:$120以下(公開価格割れ)
株価が割高かどうかの判断(PSR)
スペースXはGAAPで赤字のため、通常のPER(株価収益率)は計算できません(1株益がマイナス)。
そこで成長株で使うPSR(株価売上高倍率)で割高度を測ります。
- 時価総額1.75兆ドル ÷ 売上187億ドル = PSR約94倍
- 時価総額2兆ドル ÷ 売上187億ドル = PSR約107倍
参考までに、半導体の高成長株でもPSRは20〜30倍程度。
PSR90倍超は極めて割高で、スターリンク・スターシップ・AIの将来成長を相当先取りした水準です。
1株が何ドルかという絶対額よりも、この割高度を許容できるかで判断するのが本質的です。
ただ、スペースXのIPOは世界中が期待しており、割高関係なく短期的には株価が急上昇していく可能性が高いです。
そのため、IPO時の抽選で買えなくても初日に買ってみるでも全然いいかもしれません。
参照:https://us.kabutan.jp/stocks/SPCX
3. IPOで知っておくと有利な情報
- 個人投資家への配分が手厚い:
- S-1では公開株の約30%を個人に配分とされ、大型IPOとしては異例の高さ。
- Charles Schwab、Fidelity、Robinhood、SoFi、ETRADE(モルガン・スタンレー)経由で、機関投資家と同じ公開価格で参加できる枠が用意される見込みです。
- 議決権はマスク氏が掌握:
- 種類株(Class B=1株10議決権)により、マスク氏が議決権の約85%を保有。
- 出資しても経営への影響力はほぼ持てない構造です。
- テスラ株との連動に注意:
- マスク関連の資金が上場日にテスラ(TSLA)とSPCXへ分散するとの見方があり、上場前後はTSLAの値動きとも相互に影響し合います。
- 引受は超大型布陣:
- ゴールドマン・サックスを主幹事に21行が参加。注目度の高さがうかがえます。
4. 日本ではどこで買える?IPOに申し込めるのか
結論から言うと、今回は日本の証券会社からもIPO(公開価格での申込)に参加できる、極めて異例の案件です。
通常、米国IPOに日本の個人投資家が上場前から参加できる機会は限られており、多くは上場後に市場で買うことになります。
ところがスペースXでは、日本の主要証券が取扱いを表明しています。
① 上場前に「公開価格」で申し込む(抽選方式)
- 取扱予定の証券会社:
- SBI証券・楽天証券・みずほ証券で、公開価格での購入申込・抽選参加ができる見通しです(SBI証券は「米国株IPOの取扱いは初」とされ、画期的)。
- 申込の流れ:
- ブックビルディング(需要申告)→抽選。
- 当選すれば公開価格で購入でき、外れた場合は上場後に市場で買えます。
- NISA対応の見通し:
- 一般口座のほか、NISAの成長投資枠でも購入できる見込みと報じられています(非課税メリットを活かせる可能性)。
- 日本での販売規模:
- 最大で約3,200億円規模とされ、米国IPOへの日本枠としては破格です。
楽天証券「【米国IPO】スペースX上場!ブックビルディング参加」(2026/6/1更新):https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20260602-01.html
② 上場後に市場で普通に買う
抽選に外れても、上場(6月12日見込み)後はSBI証券・楽天証券・マネックス証券・moomoo証券などの米国株取引でSPCXを売買できます。
初心者にはこちらの方がむしろ無難で、初日の荒い値動きが落ち着いてから判断できます。
申込前に必ず押さえたい注意点
- オプトアウト期間が非常に短い:
- 仮条件(価格レンジ)が決まった後、申込内容を確認・撤回できる時間が短い(報道では最大で数時間程度)とされます。
- 事前にS-1を読み、「自分が許容できる価格・PSRの上限」を決めておくことが重要です。
- スケジュールは流動的:
- ロードショーは6月上旬、上場は最短6月12日見込みですが、仮条件・抽選日程は「決定次第」発表の段階。
- 各社のIPO・米国株ページとメール通知をこまめに確認しましょう。
- 口座は今からでも間に合う可能性:
- ネット申込なら最短で翌営業日から取引開始できるケースもあります。
- 為替リスク:
- ドル建ての投資のため、円高に振れると円換算の評価額が目減りします。
5. まとめ
スペースX(SPCX)のIPOは、規模・話題性ともに歴史的な案件です。整理すると——
- 成長性は本物:
- 売上は年33%成長、スターリンクが収益の柱。
- 本業の現金創出力もある。
- 割高なのも事実:
- PSR約94〜107倍、GAAPは赤字でPERは算出不可。将来成長を相当織り込んだ水準。
- 公開価格:
- 正式な公開価格は上場前日(6月11日ごろ)に決定でまだ未発表。
- 分割後の公正市場価格は約105ドル前後で、目標時価総額1.75兆ドルなら公開価格は「100ドル台前半〜中盤」が目安(確定は発表待ち)。
- PSR約94〜107倍と割高度はPERでなくPSRで判断。
- 日本からも申込可能:
- SBI・楽天・みずほ証券で公開価格での抽選申込ができる見通し(NISA成長投資枠も対象見込み)。
- 外れても上場後に米国株として購入可能。
- 初心者の向き合い方:
- 初日に飛びつかず、価格発見とロックアップ解除を見極めてから。
- 申込むなら仮条件発表前にS-1を読み、許容できる価格の上限を決めておく。
「夢のある銘柄」であると同時に、赤字・超割高・個人では経営に関与できない種類株という現実もあります。
投資する場合は、ポートフォリオの一部に限定し、初日の熱狂で判断しないことが何より大切です。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/

