タクシー配車アプリ「GO」を運営するGO株式会社(証券コード:581A/東証グロース)が、2026年6月16日に上場します。
公開規模は約886億円におよび、今年(2026年)の国内IPOでは最大級の案件。
ブラックロックなど海外勢も関心を示すなか、低迷が続くIPO市場復活の試金石として注目を集めています。
本記事では「どんな会社か」「公募価格・初値はどうなるか」「上場後に株価上昇は見込めるか」を、初心者〜中級者向けにかみ砕いて解説します!
1. GO(581A)IPOの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄名 | GO株式会社 |
| 証券コード | 581A |
| 上場市場 | 東証グロース |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 上場日 | 2026年6月16日 |
| 公募価格(売出価格) | 2,400円(仮条件 2,350〜2,400円の上限) |
| 想定時価総額 | 約1,864億円(公募価格ベース) |
| 公開株数 | 約3,693万株(すべて売出・公募なし) |
| 吸収金額 | 約886億円(海外含むグローバルでは約950〜970億円) |
| 主幹事 | 野村證券(ほかGS・BofA・大和が共同主幹事) |
| 売買単位 | 100株 |
ポイントは、公募(新株発行)がなく、すべて既存株主による売出しであること。
つまり調達資金は会社にほとんど入らず、DeNA・トヨタ自動車・あいおいニッセイ同和損保などの株主が出口(イグジット)として株式を放出する構図です。
2. 会社概要・事業内容

GOは、ミッション「移動で人を幸せに。」を掲げるモビリティ企業です。
前身は1977年設立の日本交通系システム会社で、2020年にJapanTaxiとDeNAの「MOV」が統合して現在の体制となりました。
主力は3つの収益柱

GOの売上は大きく3区分に分かれます(2025年5月期構成比)。
- アプリ配車(約43%):
- タクシーアプリ『GO』『GO BUSINESS(法人向け)』『GO PREMIUM』。
- タクシー関連サービス(約44%):
- 決済(GO Pay)、後部座席タブレット広告(TOKYO PRIME)、車載端末、タクシーチケットなど。
- その他(約13%):
- EV充電(GO Charge)、相乗り、物流、自動運転(Waymo・日本交通と提携) などの新規事業。
事業規模

累計DL数3,500万、平均MAU312万人、利用可能タクシー約8.5万台、年間実車数9,631万回(2025年5月期)と、国内タクシー配車アプリの実質的なデファクトスタンダードです。
強み
- 国内首位の圧倒的ブランド力:
- 5都府県の配車アプリ利用率で首位(MM総研調査)。
- 配車だけに依存しない多角化:
- 決済・広告など安定的なキャッシュ源を併せ持つ。
- 成長の伸びしろ:
- 提携事業者でのアプリ配車利用率はまだ26%にとどまり、浸透余地が大きい。
- 自動運転という将来オプション:
- Waymoとの提携で次世代モビリティの主導権を狙う。
弱み・リスク
- タクシー供給の制約:
- ドライバー不足が進むと、需要があっても配車できず成長が鈍化する恐れ。
- 競合の攻勢:
- S.RIDE、Uber、DiDiなどが追随。
- 特にUber Japanは今後5年で3,100億円超の投資計画を公表。
- 無配方針:
- 当面は内部留保を優先し、配当実績はなし。
- 新規事業は費用先行:
- 自動運転・物流は短期的な利益貢献より投資負担が先行しやすい。
参照:https://kabutan.jp/disclosures/pdf/20260514/140120260514535076/
3. IPOの申込はどこでできる?
ブックビルディング期間は2026/6/2 (火) ~ 6/5 (金)で既にIPO申請は終わっているため上場後に買うしかありません。
主幹事は野村證券。
そのほか、ネット系では楽天証券・SBI証券などどこの証券会社からも購入可能です。
需要申告(ブックビルディング)は終了済みで、購入申込期間は6月9日〜6月12日。
当選株数が約12万本超と非常に多く、当たりやすい部類のIPOです。ただし当選=利益確定ではない点に注意が必要です。
4. 上場後の株価考察
① ファンダメンタル分析
(a) 業績推移(連結)

2025年5月期に初の通期黒字化を達成し、2026年5月期予想は増収率+30%・経常利益2.5倍超と急成長フェーズにあります。
さらに2026年5月期は第3四半期累計時点で売上30,095・経常5,481・純利益5,825百万円に到達しており、9か月でほぼ前期通期の利益水準を超える好調ぶりです。
(b) 収益性

2025年5月期のROEは13.3%、第3四半期累計の年換算ROEは30.7%と高水準。
営業利益率も8.7%→直近四半期では18%台へと急改善しています。
1実車あたり単価が141円→163円へ上昇しており、「実車数×単価」の両輪が効いている点はポジティブです。
(c) 財務状況

自己資本比率は30%前後で、急成長IT企業としては標準的。
現金及び現金同等物は直近で約317億円と手元流動性は厚めです。
なお株探上の「1株純資産がマイナス」表示は上場前の優先株式調整による会計上の見え方で、優先株はすでに普通株へ転換済み。
上場後の実質BPSは約282円です。
【買い/売り判断の目安】
- 買い材料:
- 黒字転換後の高成長、国内首位ブランド、自動運転という将来テーマ、海外機関投資家の関心(ブラックロックが0.16%相当の関心表明)。
- 売り材料:
- 全部売出で既存株主の出口色が強い、吸収金額が大きく需給は重い、無配、競合投資の激化。
株価・PERの予想
公募価格2,400円・発行済株式数7,768万株で時価総額は約1,864億円。
2026年5月期の会社予想EPS約82円を当てはめると、予想PERは約29倍。
東証「情報・通信業」の平均PER(約19倍)は上回りますが、経常利益が前期比2.5倍の高成長を踏まえると、極端な割高とは言い切れません。
妥当株価の試算(あくまで一つの目安)
- 保守シナリオ:PER25倍 × EPS82円 = 約2,050円(公募価格を下回る=割安感は乏しい)
- 標準シナリオ:PER30〜35倍 × EPS82円 = 約2,460〜2,870円
- 強気シナリオ:成長継続でEPS100円・PER35倍 = 約3,500円
直近四半期の利益進捗を見ると会社予想EPS82円はやや保守的にも見え、実力ベースのフェアバリューは概ね2,500〜3,000円台と考えるのが現実的でしょう。
② テクニカル分析(上場後の着目点)
上場前のため移動平均線(MA5・MA25・MA75)はまだ形成されていません。
初値がついた後は、以下の節目を意識すると値動きを追いやすくなります。
- 2,400円:
- 公募価格。ここを上回って初値がつけば「公募割れ回避」。
- 約2,268円:
- 幹事の引受価額の目安。これを大きく割ると公募割れ・需給悪化のサイン。
- 初値〜上場初日高値:
- 大型IPOは初値で需給が一巡しやすく、初日高値が当面の上値抵抗になりやすい。
- 上場後しばらくは出来高を伴った値動きで、5日・25日移動平均線が形成され始めてからトレンドを判断するのが無難です。
③ 初値予想
各種IPO情報サイトの評価は「中立(B〜C評価)」がボリュームゾーンで、初値は公募価格前後〜小幅上昇との見方が大半です。
レンジとしては概ね2,400〜2,900円が意識されます。
- 上振れ要因:
- 知名度・成長性、海外配分比率を77%まで引き上げたことで国内の初値売り圧力が相対的に軽減、主要株主のロックアップ。
- 下振れ要因:
- 吸収金額が大きく需給が重い、全部売出、地合い次第では公募割れリスクも残る。
大型かつ全部売出のため、新興小型株のような数倍の「大化け」は期待しにくい一方、ブランドと成長性から極端な暴落も想定しにくい——“堅実だが派手さは限定的”というのが現時点の総合評価です。
5. まとめ
GO(581A)は、「黒字化×高成長×国内首位ブランド×自動運転テーマ」という材料を兼ね備えた、2026年最大級のIPOです。
- 公募価格は2,400円(仮条件上限)、想定時価総額約1,864億円。
- 予想PERは約29倍。高成長を踏まえれば過度な割高感はなく、フェアバリューは2,500〜3,000円台との見立て。
- 一方で全部売出・大型・無配という需給面の重さがあり、初値は公募価格前後〜小幅上昇(〜2,900円程度)が本命シナリオ。
短期の初値狙いなら「当たりやすいが大化けは期待薄、地合い次第で公募割れも」という割り切りが必要です。
中長期では、アプリ配車浸透率の上昇と自動運転の進展が株価を押し上げられるか——その実装スピードが最大の注目点になります。
GOの上場成功は後続IPOの追い風にもなり得るだけに、結果は市場全体にとっても重要な意味を持ちます。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/


