2026年11月3日の米中間選挙で、民主党が上院・下院の両方で過半数を確保しました。
選挙翌日のダウ平均は3%超の大幅高となった一方、日経平均は下落しました。
「民主党が勝ったのに、なぜ日本株は下がるの?」「何を買って、何を避ければいいの?」と感じた方も多いはずです。
この記事では、次の4点を初心者の方にも分かるように整理します。
- 現時点で決まっていること、まだ決まっていないこと
- 民主党の政策で追い風・逆風になるセクター
- 共和党が強いときとのセクター比較
- 投資スタイル別に、今どう動くべきか
先に結論
- 民主党は勝ったが、政策がそのまま通るわけではありません。
- トランプ大統領の任期は2029年1月まで続き、拒否権もあります。
- 基本シナリオは「ねじれによる膠着」です。
- セクターの明暗ははっきり分かれました。
- 買われたのはヘルスケアサービスや一般消費財、金融。
- 売られたのはAI半導体、データセンター関連、防衛、エネルギーです。
- 新NISAのインデックス積立は続行で問題ありません。
- 選挙より、12月のFOMC、つなぎ予算の期限、イラン情勢と原油価格のほうが相場を動かす材料になりそうです。
選挙結果:決まったこと・まだ決まっていないこと
議席の状況(11月5日時点)
| 民主党 | 共和党 | 未確定 | 状況 | |
|---|---|---|---|---|
| 上院(定数100) | 54 | 44 | 2 | 民主党の過半数をAPが当確 |
| 下院(定数435) | 240 | 147 | 48 | 民主党の過半数をAPが当確 |
上院のミシシッピとアラスカはまだ当確が出ていません。ただし、どちらに転んでも民主党の過半数は変わりません。
確定事項と未確定事項の整理
| 項目 | 内容 | 状況 |
|---|---|---|
| 大統領 | トランプ氏。任期は2029年1月まで | 確定 |
| 新議会の招集 | 2027年1月3日 | 確定 |
| 議会の構図 | 大統領は共和党、上下両院は民主党 | AP当確 |
| つなぎ予算の期限 | 12月11日。成立しなければ12月12日から政府機関の一部閉鎖 | 期限は確定、結果は未定 |
| 次回FOMC | 12月8〜9日 | 日程は確定、結果は未定 |
| 関税 | 最高裁がIEEPA関税を違法と判断。現在はSection 301・232が中心 | 確定 |
| 下院議長 | 民主党のジェフリーズ氏が有力 | 見通し |
| 債務上限 | 2027年夏ごろに上限到達、実際の期限は2027年末〜2028年初めとの推計 | 推計 |
「ねじれ」だと、なぜ政策が進みにくいのか
ねじれとは、大統領の政党と議会の多数党が異なる状態のことです。法案は議会を通過しても、大統領が拒否権を使えば止まります。
拒否権を覆すには上下両院それぞれで3分の2の賛成が必要ですが、民主党はその票数を持っていません。上院には、議事妨害を止めるのに60票が必要という壁もあります。
つまり、民主党が公約を単独で実現するのは困難です。
一方で、民主党にできることも増えます。
- 予算交渉で譲歩を迫る:政府予算には議会の承認が必要です
- 委員会で調査する:召喚権を使って企業や政権を追及できます
- 人事を止める:閣僚や判事、FRB理事の承認は上院が握ります
また、共和党が単独で減税などの法律を通す道は、事実上ふさがれました。
選挙後、市場はどう動いたか
主要指標(11月4日)

CNNが報じたCFRA Researchのデータによると、ダウの上げ幅は中間選挙翌日として1982年以来最大でした。
選挙当夜にはナスダック100先物が一時2.4%下落しましたが、トランプ大統領が結果を受け入れると表明したことで反転しました。
市場は「どちらの政党が勝ったか」だけでなく、「選挙をめぐる混乱が避けられたこと」も好感したと考えられます。
買われた銘柄・売られた銘柄

| セクター | 主な動き | |
|---|---|---|
| 買い | ヘルスケアサービス | HCA +10.9%、Centene +8% |
| 買い | 一般消費財 | セクター全体で約+4.3% |
| 買い | 金融 | セクター全体で約+3.5% |
| 買い | 大手テック | アマゾン +7%、マイクロソフト +5.7% |
| 売り | エネルギー | セクター全体で約-4.8%(原油が8%超急落) |
| 売り | 半導体 | SOX指数 -3.1%、エヌビディア -3% |
| 売り | データセンター電力関連 | Vertiv -6.8%、GE Vernova -6.3% |
| 売り | 防衛 | ロッキード -4.1%、RTX -3.2% |
同じテック関連でも、大手のアマゾンやマイクロソフトは上がり、半導体やデータセンター電力関連は下がりました。
「AI関連」とひとまとめにできない点が、今回の大きな特徴です。
米国株が上がったのに、日経平均が下がった理由

日経平均は11月4日に893円安、11月5日に1,110円73銭安と下げ、2日間で約2,000円下落しました。11月5日の終値は61,077円90銭で、4日続落です。
背景にあるのは、米国でのAI規制強化への警戒です。日経平均は半導体関連の比重が大きいため、米国のAI関連株売りの影響を受けやすい構造になっています。
逆にTOPIXが上がっているのはAI半導体関連銘柄から資金が抜けて、不動産や自動車などの堅い銘柄に資金が入ったおかげで株価上昇して、日経平均との逆転現象が起きています。
中間選挙を機に日米ともにセクターローテーションが始まっているかもしれませんね!
民主党の勝利で追い風・逆風になるセクター
ここで大切なのは、「公約」と「実現できること」を分けて考えることです。
追い風になりやすいセクター

ヘルスケアサービス(病院、メディケイド系の保険会社)
民主党は、2025年末に失効したACA(オバマケア)の拡充補助金の復活と、メディケイド削減の巻き戻しを最優先に掲げています。
全面的な実現は難しいものの、予算交渉の中で一部が実現する可能性はあります。無保険の患者が減れば、病院や保険会社の収益改善につながるという期待があります。
生活必需品・ディスカウント小売
民主党は生活費対策や、SNAP(食料支援)削減の見直しを掲げています。低所得層向けの支援が見直されれば、ウォルマートやターゲットのような小売には恩恵が見込めます。
住宅建設
住宅供給の支援策は超党派で前進しやすい分野です。ゴールドマン・サックスも選挙前のガイドで買い候補に挙げていました。
再エネ・送電網
電気代対策と結びつくテーマとして買われました。ただし、ねじれのもとで新たな大型補助金を通すのは難しく、過度な期待は禁物です。
逆風になりやすいセクター

AIデータセンター・電力設備・半導体
今回の最大の注目点です。テキサス州知事選では、データセンター新設の一時停止を掲げた民主党のイノホサ氏が勝利しました。
報道によると、Jefferiesはこの案でテキサスの発表済み計画13.3GW分がリスクにさらされると試算しています。
連邦議会で法律を通すのは難しくても、規制や立地の判断は州や郡でも進められます。つまり、大統領の拒否権が及ばない場所で進むリスクがあるということです。
モルガン・スタンレーやBofAは、AI投資そのものが崩れるのではなく、「遅く、高コストになる」と分析しています。
資金力のある大手が有利で、CoreWeaveのようなAI向けクラウド専業(ネオクラウド)には逆風という見方です。
防衛
民主党はイラン戦争の追加予算に抵抗する構えです。ただし、歳出全体が急減すると決まったわけではなく、ウクライナ支援のように民主党が支持する分野もあります。
大手製薬
薬価引き下げは民主党が重視するテーマです。ただし、トランプ大統領も薬価引き下げを主張しているため、これは党派を超えた長期的なリスクと見るべきでしょう。
暗号資産・政権関連銘柄
民主党はトランプ一家の暗号資産ビジネスなどを調査するとみられます。トランプ・メディアは選挙翌日に11%下落し、上場来安値をつけました。
参照:https://www.morganstanley.com/insights/articles/2026-us-midterm-election-results-market-impact
民主党 vs 共和党:強いセクターを比較

党派アノマリーを信じすぎてはいけない
この比較表は、あくまで「一般的にそう言われる」というものです。実際の相場は、党派の定説どおりには動きません。
- 2022年:民主党が大統領と議会を握る中、最強セクターは化石燃料エネルギーでした(+65.7%)
- 2026年:エネルギーが年初来で最強クラスですが、主な理由はイラン戦争による原油高で、政策の効果とは言えません
- 2025年:共和党政権のもとで上昇を主導したのは、エネルギーではなくAI関連でした
U.S.バンクの調査でも、1948年以降の一党支配期と分割政府期の3カ月平均リターンは2.42%と2.17%で、統計的に有意な差はありませんでした。
「民主党だから再エネ」「共和党だからエネルギー」という単純な売買は、根拠が弱いと言えます。
過去データ:中間選挙の後、株はどうなった?

魅力的な数字ですが、サンプルは19回しかありません。 今回は過去と条件も異なります。
- 物価上昇率はCPIで3.7%と高い水準です
- FRBは利上げを意識する局面にあります
- イラン戦争が続いています
- S&P500は高値圏にある一方、ゴールドマン・サックスによると構成銘柄の約60%は高値から20%以上下落しています
過去データは「追い風」であって、「上昇の保証」ではありません。
選挙より重要な3つの材料

1. FRBの利上げ
政策金利は3.75〜4.00%です。10月のFOMCは据え置きでしたが、2人が利上げを主張しました。
10月28日時点のCME FedWatchでは、12月の利上げ確率は82.6%でした。最新の確率は発表前に確認が必要です。
利上げは株式、特に高PERのグロース株には逆風になりやすい材料です。
2. イラン情勢と原油
和平が進んで原油が下がれば、インフレが落ち着き、株式市場には追い風になります。
逆にエネルギー株には逆風です。情勢が悪化すれば、その逆が起こりえます。
新議会が発足する前の2カ月に緊張が高まるリスクを指摘する専門家もいます。
3. AI投資の持続性
日本株にとって最大の論点です。AI投資が遅れるだけなのか、大きく減るのかで、半導体関連株の評価は大きく変わります。
今後の重要日程
| 日付 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 11月6日 | 米10月雇用統計 | 景気の減速度合い |
| 11月9日 | レームダック議会が再開 | 予算交渉の動き |
| 11月10日 | 米10月CPI | 予想は前年比3.7% |
| 12月8〜9日 | FOMC | 利上げの有無 |
| 12月11日 | つなぎ予算の期限 | 政府機関閉鎖の有無 |
| 2027年1月3日 | 新議会が招集 | 民主党の攻勢が本格化 |
どのような投資スタイルにするか
新NISAでインデックス積立をしている人
何もしないのが最善です。 選挙を理由に積立を止めたり売却したりする根拠はありません。
確認するなら、次の2点だけで十分です。
- 米国株やAI関連に資産が偏りすぎていないか
- 円高になると、円建ての評価額が目減りすることを理解しているか
モルガン・スタンレーは、ドルに対して円が強くなりやすいと見ています。
個別株・セクター投資をしている人
今回の値動きをそのまま追いかけるのは避けましょう。 ヘルスケアは10月6日以降、選挙前からすでに約10%上昇しており、期待の一部は織り込まれています。
セクターETFの特徴は次のとおりです。
| ETF | セクター | 見方 |
|---|---|---|
| XLV | ヘルスケア | 政策面は追い風。ただし上昇済みで、製薬への逆風も含む |
| XLE | エネルギー | 原油下落に最も弱い |
| XLK | テクノロジー | AI規制と利上げが重荷。調整後の押し目を狙う声もある |
| XLF | 金融 | 選挙後は好調。景気と金利の動向に注意 |
| XLI | 資本財 | 防衛と電力設備を含み、動きがまちまちになりやすい |
勝ち組とされるセクターでも、決算で業績を確認してから判断するのが無難です。
スイングトレードをしている人
選挙直後の値動きは、ポジション調整や買い戻しが中心です。
当夜の先物急落から翌日の急反発に転じたように、ニュースだけで方向を決めると振り回されます。
- FOMCや予算期限の前は、ポジションサイズを落とす
- エントリー前に損切りラインを決めておく
- 値動きが荒い銘柄を、政策テーマだけで買わない
やってはいけないこと
- 「民主党だから再エネ」と決めつけて買う
- 選挙ニュースだけで保有株を投げ売りする
- 未確定の2議席の結果に賭ける
- 初日に急騰した銘柄を、理由を確認せずに飛び乗りで買う
- 過去の「全勝データ」を上昇の保証だと考える
強気シナリオと弱気シナリオ

BofAの選挙前の「民主党が両院を制すれば10%超の下落」という警告は、少なくとも初日は外れました。
一方で、1日の値動きで長期の答えが出るわけでもありません。短期予想は、専門家でも外れることを前提に読むのが大切です。
まとめ
- 民主党は上下両院の過半数を確保したが、大統領の拒否権があり、基本シナリオは膠着
- 追い風はヘルスケアサービス、生活必需品、住宅建設
- 逆風はAIデータセンター関連、防衛、大手製薬、暗号資産関連
- 日本株はAI・半導体の比重が大きく、米国の規制リスクの影響を受けやすい
- 政党とセクターの関係は、原油や戦争などの要因で簡単に覆される
- 本当に注目すべきは12月のFOMC、つなぎ予算の期限、イラン情勢、AI投資の行方
選挙の結果そのものより、「その結果が企業の利益にどうつながるか」を見ることが、これからの相場で最も大切な視点です。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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