10月に入ってから、日本の株式市場でサイバーセキュリティ関連株が一斉に動き出しました。
ストップ高を連発する中小型株も出ていて、「今から買っても間に合うの?」「どれが本命なの?」と迷っている方も多いと思います。
この記事では、サイバーセキュリティ関連株 本命/出遅れテーマの中心にいる「本命」3銘柄と、まだ評価が追いついていない「出遅れ」・押し目候補3銘柄を、業績と指標から整理します。
この記事でわかること
- いまサイバーセキュリティ株が買われている3つの理由
- 本命3銘柄(トレンドマイクロ/デジタルアーツ/FFRI)の強みと注意点
- 出遅れ・押し目候補3銘柄(セグエグループ/ソリトンシステムズ/HENNGE)
- 銘柄ごとのエントリー・損切り・目標の目安
なぜ今、サイバーセキュリティ関連株なのか
理由1:10月1日に「能動的サイバー防御」法が施行
2025年5月に成立したサイバー対処能力強化法(いわゆる能動的サイバー防御法)が、2026年10月1日に施行されました。
攻撃を受けてから対処する「受け身の防御」から、攻撃の兆候をつかんだ段階で先手を打つ防御へと、日本のサイバー安全保障が大きく転換します。
直接の規制対象は電力・通信・金融などの基幹インフラ事業者ですが、その取引先(サプライチェーン)にも対策が求められます。
セキュリティ投資の裾野が中堅・中小企業まで広がることが、関連株にとっての追い風です。
理由2:国内で不正アクセス被害が急増
警察庁の集計では、2026年上半期のランサムウェア被害報告は123件と、半期ベースで過去最多を記録しました。
今年はKDDIやニチレイ、直近ではパーク24など大手企業の不正アクセス被害が相次ぎ、10月7日にはソフトバンクグループのクラウドサービス「IDCFクラウド」がランサムウェア被害を受けています。
企業にとってセキュリティは「削れるコスト」ではなく「経営の必須投資」に変わりつつあります。
理由3:「AIに仕事を奪われる」懸念からの見直し
実はサイバーセキュリティ株は、年初から春にかけて大きく売られていました。AIエージェントの普及でソフトウェア企業の存在価値が薄れる、いわゆる「SaaSの死」懸念です。
4月にはAnthropicが高度なサイバー能力を持つAIモデル「Mythos」を発表し、関連株は一段安となりました。
ところがその後、「AIが攻撃に使われるほど、防御の需要も増える」という見方が広がります。
米国ではパロアルトネットワークスやクラウドストライクが年初来で+100%を超える上昇(10月14日時点)となり、日本の関連株は夏以降に見直しが本格化しました。
ポイント:米国大手が先に上がり、日本株が後から追いかけている構図です。
だからこそ、「すでに上がった本命」と「まだ評価が追いついていない出遅れ」を分けて考えることが大切です。
本命と出遅れ、どう分ける?
- 本命:テーマとの関連が深く、知名度と業績の裏付けがある銘柄。安心感がある反面、期待が株価に織り込まれやすい。
- 出遅れ:テーマに関連しているのに、PER(株価収益率)などで見るとまだ評価が控えめな銘柄。または、急騰後の調整で「押し目」を待てる銘柄。
6銘柄の比較一覧
| 区分 | 銘柄(コード) | 株価(基準日) | 予想PER | 配当利回り | 今期業績見通し |
|---|---|---|---|---|---|
| 本命 | トレンドマイクロ(4704) | 7,369円(10/8) | 約31倍 | 未定 | 経常 −14.8%(AI投資先行) |
| 本命 | デジタルアーツ(2326) | 6,430円(10/19) | 約23倍 | 1.56% | 経常 +13.7% |
| 本命 | FFRIセキュリティ(3692) | 8,290円(10/19) | 約58倍 | 0.22% | 経常 +3.5% |
| 出遅れ | セグエグループ(3968) | 697円(10/1) | 約15倍 | 約2.6% | 営業 +40%(上方修正後) |
| 出遅れ | ソリトンシステムズ(3040) | 3,185円(10/14) | 約22倍 | 2.26% | 経常 +32.7% |
| 押し目候補 | HENNGE(4475) | 約1,980円(10/21) | 約39倍 | 0.56% | 経常 +11.8%(26年9月期) |
本命① トレンドマイクロ(4704)

国内最大手のセキュリティ専業で、時価総額は約1兆円。テーマの「顔」と言える存在です。
- 今春、AnthropicとAI活用で連携を発表。生成AI「Claude」を使い、脆弱性の発見や自動防御を強化
- 2026年1〜3月期の売上高は738.6億円で、四半期として過去最高
- 一方、今期(26年12月期)の会社予想は売上+9.2%に対し経常利益−14.8%。AI・クラウドへの先行投資が利益を圧迫

注意点:10月8日時点でアナリストの平均目標株価(6,163円)を株価が上回っており、短期的には割高感があります。11月中旬の第3四半期決算で、投資の成果が見えるかが焦点です。

売買シナリオ
- エントリー:7,000円前後(8月高値6,982円が支持線に変わるか確認)
- 損切り:6,500円割れ
- 目標:8,000円(6月にJefferiesが示した目標株価)
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=4704
本命② デジタルアーツ(2326)

Webフィルタリング「i-FILTER」、メールセキュリティ「m-FILTER」で知られ、官公庁や学校に強い会社です。
- 27年3月期第1四半期は、契約高+51.7%、売上高+19.4%、営業利益+30.2%と大幅な増収増益
- 「GIGAスクール構想 第2期」の案件獲得が好調
- 契約高(受注額)が先に伸び、後から売上に計上される構造のため、業績の見通しが立てやすい
- 年間配当は100円予想で増配基調

株価は6月の安値3,500円から10月16日の年初来高値6,580円まで、ほぼ2倍になりました。10月30日の第2四半期決算が次の材料です。

売買シナリオ
- エントリー:6,000円前後
- 損切り:5,500円割れ
- 目標:7,000円(予想EPS約284円×PER25倍)
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=2326
本命③ FFRIセキュリティ(3692)

純国産のセキュリティソフト「yarai」を持ち、防衛省など安全保障分野に強い専業企業です。昨年は「高市関連株」として大相場を演じました。
- 26年3月期は売上高+43%、営業利益+67%と高成長
- ただし今期予想は経常+3.5%と、成長ペースは鈍化見込み
- GMOインターネットグループが同社株を買い増しており(保有目的は純投資)、思惑を呼んでいる

10月16日に+12%の8,840円まで買われた後、19日には−6%と、値動きはかなり荒めです。PER約58倍・PBR約17倍は明らかに期待先行なので、初心者の方は資金の一部にとどめるのが無難です。

売買シナリオ
- エントリー:7,500円前後(9月下旬の水準)
- 損切り:7,000円割れ
- 目標:10,000円(1月高値10,430円の手前)
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=3692
出遅れ① セグエグループ(3968)

海外製セキュリティ製品の輸入販売に加え、自社開発のテレワーク用セキュリティ「RevoWorks」を展開。保守・運用による継続収益も持っています。

- 政府系・大手企業向けの大型案件が寄与し、上期の営業利益は前年同期の3.2倍
- 通期の営業利益予想を26億円(前期比+40%)に上方修正
- それでもPERは15倍台。デジタルアーツ(約23倍)、FFRI(約58倍)と比べると明らかに割安
- 年間配当は18円予想(前期13円)、株主優待もあり
注意点:自己資本比率が22%台と低めで、物販中心のため案件によって業績に波が出やすい点は意識しておきましょう。

売買シナリオ
- エントリー:650円前後
- 損切り:600円割れ
- 目標:800円(上場来高値809円の手前)
参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=3968
出遅れ② ソリトンシステムズ(3040)

認証・セキュリティ製品とシステム構築が柱で、技術力に定評のある会社です。
- 26年12月期は経常利益+32.7%を予想
- 年間配当は72円予想(前期54円)と大幅増配
- 株価は3か月で約+48%上昇したものの、PERは22倍前後とFFRIやHENNGEより低い水準

「株価は動いたが、評価はまだ控えめ」というタイプの出遅れです。11月12日の第3四半期決算で増益ペースを確認したいところです。

売買シナリオ
- エントリー:2,900〜3,000円(10月上旬に上抜けた52週高値の水準)
- 損切り:2,700円割れ
- 目標:3,600円(予想EPS144円×PER25倍)
参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=3040
出遅れ③ HENNGE(4475)

クラウドのID管理サービス「HENNGE One」を提供。解約率が低いストック型ビジネスです。
AIの普及で「誰がアクセスしているか」を管理するID管理の重要性が高まっており、テーマとの相性は抜群です。
- 10月2日にAI関連の新会社設立、東証プライムへの市場変更、配当の増額(6円→11円)を一挙に発表
- 株価は7月初めの1,137円から10月16日の年初来高値2,168円まで、ほぼ2倍に

ここまで上がると「出遅れ」とは言えませんが、10月19日に−9%下落するなど調整も入っています。
11月5日の本決算で示される来期見通しを見てから、押し目を拾う戦略が向いています。

売買シナリオ
- エントリー:2,400円前後(10月上旬のもみ合い水準)
- 損切り:2,200円割れ
- 目標:3,000円
投資するときの注意点3つ
1. テーマ株は「急騰→急落」がセット
たとえば不正検知のカウリス(153A)は、10月2日の1,544円から13日には2,999円とほぼ倍になりましたが、15日には2,359円まで急落しました。
ニュースで飛びつく高値買いは避け、押し目を待つのが基本です。
2. 決算カレンダーを押さえる
| 日程 | 銘柄 |
|---|---|
| 10月30日 | デジタルアーツ(第2四半期) |
| 11月5日 | HENNGE(本決算) |
| 11月12日 | ソリトンシステムズ(第3四半期) |
| 11月中旬 | トレンドマイクロ、セグエグループ(第3四半期) |
決算直前は思惑で上がりやすく、発表後は「材料出尽くし」で売られることもあります。
3. 米国株と金利の動きもチェック
日本の関連株は米国大手(クラウドストライク、パロアルトネットワークス)の株価に影響を受けやすい傾向があります。
また足元では半導体・AI関連株が調整しており、金利上昇による割高株への売り圧力にも注意が必要です。
個別株のリスクが気になる方は、本命1〜2銘柄+出遅れ1銘柄に分散する、あるいはセキュリティ関連の投資信託を活用するのも一つの方法です。
まとめ
- 能動的サイバー防御法の施行と国内の被害急増で、サイバーセキュリティは息の長い国策テーマになりつつある
- 本命は、時価総額最大のトレンドマイクロ、業績の見通しが立てやすいデジタルアーツ、安全保障に強いFFRI
- 出遅れは、PER15倍台のセグエグループと、増益・増配のソリトンシステムズ。HENNGEは決算後の押し目狙い
- 10月末〜11月中旬の決算ラッシュが次の分岐点。高値追いは避け、損切りラインを決めてから入る
テーマ株は勢いがあるときほど冷静さが大切です。気になる銘柄は監視リストに入れて、決算と押し目を待ちましょう。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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