日本の将来を決める大きなイベント、衆議院議員総選挙(衆院選)。
投資家の間では「選挙は買い」という格言があるほど、政治の転換点は株式市場にとって大きな材料となります。
「政治の話は難しそう…」
「どの株を買えばいいのかさっぱり分からない」
そんな投資初心者の方に向けて、今回は衆院選の結果を受けて注目が集まる「政策株(国策銘柄)」について、6つの主要テーマと具体的な注目企業を徹底解説します。
1. なぜ「衆院選」で株価が動くのか?

まず、なぜ選挙が株価に影響を与えるのかを整理しましょう。理由は大きく分けて3つあります。
① 巨額の国家予算の使い道が決まる
政府が掲げる政策には、必ず「予算」が伴います。
例えば「防衛力の強化」を掲げれば防衛産業に、「国土強靭化」を掲げれば建設業界に、数兆円規模の税金が投入されます。
この予算が企業の売上となり、利益を押し上げるため、関連する株が買われるのです。
② 「国策に売りなし」という投資の鉄則
投資の世界には「国策に売りなし」という有名な言葉があります。
国が総力を挙げて推進する事業は、景気の良し悪しに関わらず予算が確保されやすく、長期的な成長が期待できるため、投資家にとって非常に魅力的な選択肢となります。
③ 先行き不透明感の解消
市場は「不確実性」を最も嫌います。選挙前は「どちらが勝つかわからない」という不安から買い控えられますが、結果が出て政権の方向性が定まると、安心感から一気に買いが入ることが多いのです。
それでは、具体的にどのようなテーマと銘柄が「国策」として注目されているのか見ていきましょう。
2. 【防衛・装備】国家安全保障の最前線
地政学リスクが高まる中、日本の防衛力強化は党派を問わず最優先課題の一つとなっています。
注目銘柄の分析
- 三菱重工業(7011)
- 日本の防衛産業の「核」です。
- 戦闘機、護衛艦、ミサイル防衛など、あらゆる分野で中心的な役割を担っています。
- 政策株を語る上で外せない王道銘柄です。
- 川崎重工業(7012)
- 潜水艦や航空機に強みを持ち、最近では「無人機(ドローン)」の開発でも注目されています。
- IHI(7013)
- 航空エンジンの世界的企業であり、ミサイルの推進装置(ロケットエンジン)など、誘導弾整備の柱となります。
【分析のポイント】
防衛予算は「国内総生産(GDP)比2%」への増額が既定路線となっており、装備の近代化や無人化は一過性のブームではなく、数兆円規模の「確約された市場」と言えます。
3. 【食品・小売】家計を支える「生活防衛」と「消費活性化」
今回の衆院選で大きな目玉となっているのが、消費税の減税です。
特に「飲食料品の消費税を2年間ゼロにする」という検討案は、家計の可処分所得を直接的に増やすため、内需関連株に強烈な追い風となります。
注目銘柄の分析
- イオン(8267)
- 日本最大の流通グループ。
- 食品スーパーやショッピングモールを全国展開しており、食料品の消費税がゼロになれば、来店客数の増加と購買単価の上昇が最も期待できる銘柄です。
- 神戸物産(3038)
- 「業務スーパー」を展開。低価格・高品質な自社開発商品に強みを持ちます。
- 消費税ゼロによる「買い溜め需要」や、浮いたお金での「プラス一品」の恩恵をダイレクトに受けます。
- 味の素(2802)
- 調味料・加工食品の国内最大手。食料品への支出が増えれば、ブランド力のある同社製品のシェア拡大が期待できます。
- 明治ホールディングス(2269)
- 乳製品や菓子、健康食品を手掛ける。生活必需品としての側面が強く、減税による恩恵を安定的に享受できる銘柄です。
【分析のポイント】
消費税減税、特に「食料品ゼロ」は、低所得者層から高所得者層まで全世帯に恩恵が及びます。
これにより、スーパーや食品メーカーは「単なる安売り」から「より良いものを買う」という消費の質の向上(トレードアップ)という恩恵を受けることになります。
4. 【量子・HPC・最適化】次世代産業の脳
「経済安全保障」の観点から、他国に依存しない計算基盤の構築が急務となっています。
注目銘柄の分析
- NTT(9432)
- 「IOWN(アイオン)」構想により、光技術を用いた超低消費電力・高速通信を実現しようとしています。
- 光量子コンピュータの分野でも世界をリードする存在です。
- 富士通(6702)
- スーパーコンピュータ「富岳」の開発で知られる日本のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)のリーダーです。
- NEC(6701)
- 「量子アニーリング」という、複雑な組み合わせ最適化問題を解く技術に強みを持ちます。
- フィックスターズ(3687)
- ソフトウェアの高速化・最適化に特化した企業。AIや量子技術を実用化する際に欠かせない「橋渡し」の役割を担います。
- エヌエフHD(6864)
- 量子センシングなどの精密測定機器に強みを持ち、量子コンピュータの制御装置なども手掛ける隠れた実力派です。
【分析のポイント】
AI時代の到来により、計算資源(コンピューティングパワー)は「21世紀の石油」と呼ばれています。
政府による莫大な補助金が投入される分野です。
5. 【サイバーセキュリティ】デジタル領域の防壁
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む一方で、サイバー攻撃によるリスクは年々増大しています。
注目銘柄の分析
- トレンドマイクロ(4704)
- ウイルスバスターでお馴染みの世界的大手。
- 官公庁や大企業向けの包括的なセキュリティソリューションに強みがあります。
- FFRIセキュリティ(3692)
- 日本発の高度なエンドポイントセキュリティ(EDR)を展開。
- 特に「純国産」である点は、国家機密を扱う官公庁需要において強力なアドバンテージとなります。
【分析のポイント】
「ゼロトラスト(何も信頼しない)」という新しいセキュリティ考え方の普及により、システムの更新需要が継続的に発生しています。
国家防衛が「物理(防衛株)」から「デジタル(サイバー株)」へと広がっている点に注目です。
6. 【宇宙開発】新時代の国家インフラ
宇宙はもはやSFの世界ではなく、GPS通信や安全保障、気象観測を支える「インフラ」です。
注目銘柄の分析
- 三菱重工業(7011)
- H3ロケットの打ち上げ成功により、日本の宇宙輸送技術の信頼性を再び証明しました。
- QPS研究所(5595)
- 小型SAR(合成開口レーダー)衛星のパイオニア。
- 夜間や雲の上からでも地表を観測できる技術は、災害監視や安保分野で極めて重要です。
- アストロスケールHD(186A)
- 「宇宙の掃除屋」として知られる、宇宙デブリ(ゴミ)除去の世界的リーダー。
- 持続可能な宇宙利用という、世界的な課題をビジネスにしています。
【分析のポイント】
宇宙産業は2040年までに世界で100兆円規模に成長すると予測されています。
日本のJAXAと民間企業の連携が加速しており、夢のある成長分野です。
7. 【危機管理・国土強靭化】災害に強い国づくり
地震や台風など、災害頻発時代において、インフラの老朽化対策と防災投資は避けて通れません。
注目銘柄の分析
- 大成建設(1801)・鹿島建設(1812)
- ゼネコン大手は、南海トラフ対策や首都直下地震を見据えたインフラ再開発、耐震補強工事の主役です。
- 不動テトラ(1813)
- 地盤改良や消波ブロック(テトラポッド)に強みを持ち、港湾の防災対策には欠かせない存在です。
- 応用地質(9755)
- 建設前の地質調査や、防災コンサルティングの最大手。
- ソフト面からの防災対策を支えます。
【分析のポイント】
「国土強靭化5か年加速化対策」など、中期的な予算計画が立てられており、業績の予測可能性が高いのが特徴です。
8. 【核融合】未来の「究極のクリーンエネルギー」
長期的なテーマとして、二酸化炭素を出さず、資源がほぼ無限とされる核融合(人工太陽)が注目されています。
注目銘柄の分析
- 住友電気工業(5802)
- 核融合炉に必要な強力な磁場を作るための「超電導線材」で世界トップクラスの技術を持ちます。
- 東洋炭素(5310)
- 炉内の超高温に耐える特殊な炭素材料を供給。
- 助川電気工業(7711)
- 核融合炉の加熱装置部品やセンサーなど、ニッチながら不可欠な部品を製造しています。
- 浜松ホトニクス(6965)
- 「レーザー核融合」において、世界屈指の高出力レーザー技術を有しています。
【分析のポイント】
実用化にはまだ時間がかかりますが、ITER(国際核融合実験炉)プロジェクトなどは着実に進展しています。大きな技術革新が発表されるたびに急騰するポテンシャルを持っています。
参照:https://diamond.jp/zai/articles/-/1059028
まとめ:政治を味方につけて、資産を育てる
衆院選という歴史の転換点は、私たち投資家にとって「次の時代の主役企業」を見つける絶好のチャンスです。
今回ご紹介した銘柄は、単に流行に乗っているだけではなく、日本の課題を解決するために国が予算を投じる「価値ある企業」ばかりです。
まずは自分が興味を持てるテーマ(例えば「宇宙が好き」「セキュリティは大事だ」など)から、1株、10株と少しずつ投資を始めてみてはいかがでしょうか。
「国策」という強力な追い風に乗って、賢く資産形成をしていきましょう!
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/

