なぜ金の価格が上昇しているのか?今後の価格も予想!

金価格 分析 個別銘柄分析

2025年、世界の金融市場が揺れ動く中、金の価格が目覚ましい上昇を続けています。特に9月以降、その勢いは加速し、多くの投資家が熱い視線を送っています。

「なぜ今、金の価格はこれほどまでに上昇しているのだろう?」

「この上昇はいつまで続くのか?」

この記事では、そんな疑問にお答えすべく、2025年9月からの金価格高騰の背景を徹底解説し、今後の価格動向を専門的な視点から考察します!

1. なぜ金の価格が上昇したのか?

2025年9月以降の金価格の上昇は、単一の理由ではなく、複数の要因が複雑に絡み合った結果です。

ここでは、主な5つの要因を詳しく解説します。

要因1:欧米の財政・政治不安によるリスク回避

世界経済を牽引する欧米で、財政や政治に対する信認が揺らいでいます。

  • 欧州の懸念:
    • 英国では、財政赤字の拡大に対する懸念から、通貨(ポンド)・株・債券が同時に売られる「トリプル安」の様相を呈しています。
    • また、フランスでも財政問題と政治の混迷が続いており、欧州経済全体の先行き不透明感を強めています。
  • 米国の不安定要素:
    • 米国では、トランプ政権下での保護主義的な通商政策や、根強いインフレ圧力が経済の重しとなっています。
    • さらに、2025年10月1日以降、一部の政府機関が閉鎖されるなど、政治的な不確実性も高まっています。

このような状況下で、投資家はリスクの高い株式や債券から資金を引き揚げ、より安全な資産へと移す動きを強めています。

この「質への逃避」の受け皿として、国籍を持たず、そのもの自体に価値がある「金」が選ばれているのです。

要因2:米国の追加利下げ観測と金融緩和

金価格と政策金利は、一般的に逆相関の関係にあります。

  • 金利が下がると、金の魅力が上がる理由
    • 金は、銀行預金や債券と違って金利を生みません。
    • そのため、世の中の金利が高い局面では、利息収入が期待できる他の金融資産に比べて魅力が劣ります。
    • しかし、逆に金利が低下する局面では、他の資産との相対的な魅力が高まります。

2025年、FRB(米連邦準備制度理事会)は景気減速への懸念から追加利下げに踏み切るとの観測が市場で強まっています。

この金融緩和への期待感が、金利のつかない金への投資を強力に後押ししているのです。

要因3:世界の中央銀行による継続的な金購入

近年、世界中の中央銀行、特に新興国が外貨準備として金の保有量を増やしています。

  • 脱ドル依存の動き:
    • 米ドルは世界の基軸通貨ですが、米国の金融政策や政治情勢によってその価値は大きく変動します。
    • このリスクを分散するため、中国やポーランドをはじめとする国々が、ドルへの依存度を下げ、代わりに金の準備を積み増しているのです。
  • 地政学的リスクへの備え:
    • 国際紛争や経済制裁といった地政学的リスクが高まる中で、どの国にも依存しない普遍的な価値を持つ金は、国家の資産を守るための最終的な保険と見なされています。

こうした中央銀行による大規模かつ継続的な買いは、金市場の需要を下支えし、価格を押し上げる大きな要因となっています。

要因4:根強いインフレへの懸念

世界的な金融緩和や、各国の関税措置による製品価格への転嫁などにより、インフレ(物価上昇)が継続しています。インフレが進むと、現金の価値は実質的に目減りしてしまいます。

例えば、100万円を持っていても、物価が10%上がれば、その100万円で買えるモノの量は1割減ってしまいます。

これに対し、金は実物資産であり、インフレに強いという特性があります。通貨価値が下落する局面で、資産の価値を守るための「インフレヘッジ」として金の需要が高まるのです。

要因5:長期的な上昇トレンドの継続

近年の金価格上昇は、2025年9月に始まったものではありません。

新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、中東情勢の悪化など、世界を揺るがす出来事が続く中で、金は「有事の金」としての役割を果たし、長期的な上昇トレンドを形成してきました。

加えて、金の採掘コストそのものが年々高騰していることも、価格を押し上げる構造的な要因となっています。

採掘しやすい金鉱山が減少し、技術的な難易度が上がっているため、供給量が急激に増えることは考えにくく、希少価値が価格を支えています。

2. 金に投資するなら?人気のETF・信託一覧

金に投資する方法はいくつかありますが、近年は証券取引所で株式のように手軽に売買できるETF(上場投資信託)が人気です。

ここでは、代表的な3つの銘柄をご紹介します。

銘柄コード銘柄名特徴
<1540>純金上場信託金地金を国内で保管している安心感が特徴。信託報酬は年0.44%(税込)。
NISAの成長投資枠も利用可能で、一定量を集めると金地金そのものに交換することもできます。
<1326>SPDRゴールド・シェア世界最大級の金ETFで、流動性が非常に高いのが魅力。
金は海外(ロンドンなど)で保管されています。
信託報酬は年0.40%と比較的低コストです。ドル建ての金価格に連動します。
<1328>NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信東京商品取引所の金先物価格に連動するように設計されています。
円建ての金価格を対象としているため、為替変動を気にせず投資したい方に適しています。
<2036>金先物Wブル日経・JPX金指数の変動率を2倍に連動しており、ボラティリティが高く短期売買向けとなります。

これらのETFは、それぞれに特徴があります。ご自身の投資スタイルや、コスト、保管場所への考え方などを比較検討して選ぶと良いでしょう。

3. 今後の株価を考察【2025年末に向けた3つの視点】

さて、最も気になるのは今後の価格動向です。ここでは、「ファンダメンタル」「テクニカル」「海外投資家の予想」という3つの視点から、金価格の未来を考察します。

①ファンダメンタル分析

ファンダメンタル分析とは、経済や政治の状況など、資産価値の根源的な要因を分析する手法です。

  • 強気(上昇)シナリオ:
    • 世界経済の減速懸念: 景気後退への懸念が強まれば、各国の金融緩和がさらに進み、金価格を押し上げる可能性があります。
    • 地政学的リスクの継続: 現在進行中の紛争や、新たな国際的緊張が高まれば、「安全資産」としての金の需要はさらに増加するでしょう。
    • インフレの高止まり: 世界的にインフレが収まらない場合、資産価値を守るための金買いが活発になります。
  • 弱気(下落)シナリオ:
    • 世界経済の急回復: 予想に反して世界経済が力強く回復し、インフレが沈静化すれば、FRBが利下げから利上げに転じる可能性があり、金には逆風となります。
    • 地政学的リスクの緩和: 国際情勢が安定に向かえば、「有事の金」としての需要は後退します。

総合的に見ると、2025年後半も世界経済の不確実性は高く、金価格を支える要因は多いと考えられます。

②テクニカル分析

テクニカル分析とは、過去の価格チャートの動きから将来の値動きを予測する手法です。

2025年10月9日時点の「純金信託<1540>」の日足チャートを見ると、以下の点が読み取れます。

  • 強い上昇トレンドの形成: 短期(5日/緑)、中期(25日/赤)、長期(75日/青)の移動平均線がすべて上向きで、短期線が長期線を上から順番に並ぶ「パーフェクトオーダー」という、非常に強い上昇トレンドを示唆する形になっています。
  • 出来高の急増: 9月下旬から価格上昇とともに出来高(グラフ下の棒グラフ)が急増しています。
    • これは、多くの市場参加者がこの価格上昇に関心を持ち、活発に売買している証拠であり、トレンドの強さを裏付けています。
  • 短期的な過熱感も: 一方で、価格が短期の移動平均線から大きく上に乖離しており、短期的にはやや過熱感も見られます。
    • 今後、一時的に価格が調整(下落)する可能性も視野に入れておく必要があります。

テクニカル的には、強力な上昇トレンドが継続していますが、短期的にはスピード調整が入ることも考えられる局面です。

③海外投資家の予想価格(2025年末)

世界の金融市場を動かす大手投資銀行は、金価格に対して非常に強気な見通しを立てています。

  • ゴールドマン・サックス: $3,700
  • モルガン・スタンレー: $3,800
  • JPモルガン: $3,675

これらの予想は、現在(2025年10月初旬)の$3,500~$3,600台から、年末にかけてさらなる上昇を見込むものです。

その背景には、これまで述べてきたような中央銀行の旺盛な需要、世界的な低金利環境、そして地政学的リスクの高まりがあります。

しかしながら、現在の金の価格は$4000であり既に予想を超えている状況です。

必ずしも機関投資家の予想が当たるという訳ではないので機関投資家が考えている以上に需要が増加していることが分かります。

参照:https://jp.tradingview.com/chart/?symbol=OANDA%3AXAUUSD

4. まとめ

今回は、2025年9月以降の金価格上昇の理由と、今後の見通しについて解説しました。

【金価格上昇のポイント】

  • 世界的な政情・財政不安が「安全資産」としての金の魅力を高めている。
  • 米国の利下げ観測が、金利を生まない金の相対的な価値を押し上げている。
  • 世界の中央銀行による継続的な買いが、需要を強力に下支えしている。
  • インフレヘッジとしての需要も根強い。

【今後の見通し】

  • ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は、引き続き金をサポートする要因が多い。
  • テクニカルチャートは強い上昇トレンドを示しているが、短期的な過熱感には注意が必要。
  • 海外の大手投資銀行も、年末に向けてさらなる価格上昇を予測している。

これらの点を総合すると、金価格は当面、堅調な展開が続く可能性が高いと考えられます。

もちろん、投資に「絶対」はありません。金価格も、国際情勢の急変や各国の金融政策の転換によって大きく変動するリスクをはらんでいます。

しかし、その普遍的な価値と、金融システムが揺らいだ時に輝きを増す特性は、資産の一部をインフレや不測の事態から守る「保険」として、あなたのポートフォリオに安定をもたらしてくれるかもしれません!

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/