株価が暴落しても売らずにまた上がるまで待てば損しない?その考えの落とし穴

株の知識

「株価が下がっても、また上がるまでずっと持っていれば、損はしないはず…」

株式投資を始めたばかりのころ、多くの人が一度はこう考えます。確かに、売って損失を確定させなければ、数字上のマイナスは実現しません。

この考え方は、果たして本当に正しいのでしょうか?

今回は、Yahoo!知恵袋に寄せられたこの疑問を、実際の個人投資家の回答を基に、この考え方の「半分本当のところ」と「知っておくべき落とし穴」を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!

結論:その考えは「半分正解」で「半分は間違い」

いきなり結論から言うと、「上がるまで持てば損はしない」という考えは、半分は正解ですが、半分は危険な間違いをはらんでいます。

どういうことか、詳しく見ていきましょう。

「半分正解」な理由:売らなければ損失は”確定”しない

皆さんが証券口座で見るマイナスの金額は「含み損」と呼ばれるものです。これは「もし今、この株を売ったらこれだけ損しますよ」という評価上の数字。

知恵袋の回答にもあるように、あなたが株を売却しない限り、その損失は確定しません。

【知恵袋の回答より】
「現物取引ならおっしゃっていることであっています。」
「上がるまで持っておけば損は出ない。正しいです。」
「売らなければ損は出ません。」

実際に株価が回復すれば、含み損は消え、利益に変わる可能性も十分にあります。これが「半分正解」と言える理由です。

しかし、ここには大きな落とし穴が潜んでいます。

「半分は間違い」な理由:知っておくべき4つのリスク

「ただ持っていればいい」というほど、株式投資は単純ではありません。そこには無視できないリスクが存在します。

1. そもそも株価が二度と戻らない(最悪、ゼロになる)可能性

これが最大のリスクです。すべての会社の株価が、いつか必ず元の価格に戻る保証はどこにもありません。

【知恵袋の回答より】
「30年、40年経っても下がったままの会社はいくらでもあります」
「上場廃止や倒産など、株価自体に価値がなくなることもあります。」

業績が悪化し続けたり、時代の変化についていけなくなったりした会社の株価は、下がり続けることも珍しくありません。

そして、会社が倒産してしまった場合、その株の価値はゼロになります。

どんなに有名な大企業でも、未来は誰にも分かりません。自分の投資人生や、企業の寿命には限りがあることを忘れてはいけません。

以下参考になのですが、最近不正会計で上場廃止した「【260A】オルツ」といった銘柄です。。。

2. 「塩漬け」による機会損失

株価が下がり、売るに売れず、長期間保有し続ける状態を「塩漬け」と呼びます。

【知恵袋の回答より】
「塩漬けしてる間は、ずっと資金が拘束され何もできないままです」
「資金効率が悪くなるデメリットは否めないかと思います」

例えば、塩漬けにしている100万円が、もし他の成長している会社の株を買う資金になっていれば、もっと大きな利益を生んでいたかもしれません。

このように、本来得られたはずの利益を逃してしまうことを「機会損失」と言います。

塩漬けは、ただ資産が減っているだけでなく、資産を増やすチャンスまで逃している状態なのです。

3. 精神的なストレス

毎日、自分の資産が数十万円、数百万円とマイナスになっているのを見続けるのは、想像以上に辛いものです。

【知恵袋の回答より】
「株価が半分になってまださらに下がりそうと思えば、そのストレスって半端ないですよね」
「実際にずっと大損してる状態で持ち続けるのってのは素人には難しいですね」

このストレスが原因で、「もう見たくない」と投資から離れてしまったり、逆に「早く取り返したい!」と焦って冷静な判断ができなくなり、さらに大きな失敗を招いたりすることもあります。

4.【特に注意】信用取引は借金を負うリスクも

知恵袋の回答で多くの人が指摘しているのが「信用取引」の危険性です。

  • 現物取引
    • 自分が持っている資金の範囲内で株を買う取引。
    • 損をしても、最大で投資した金額がゼロになるだけです。
  • 信用取引
    • 証券会社からお金や株を借りて、自己資金以上の大きな金額で取引すること。

信用取引で株価が暴落すると、「追証(おいしょう)」という追加の保証金(現金)を差し入れなければならない事態が発生します。

これに応じられないと、強制的に株が売られて損失が確定し、場合によっては元本以上の借金を背負うことになります。

初心者のうちは、必ず「現物取引」から始めましょう!

株価が下がったらどうすればいい?初心者向けの対策

では、株価が下がってしまった時、私たちはどうすれば良いのでしょうか。大切なのは、事前に準備しておくことです。

1. 「損切り(ロスカット)」のルールを決めておく

「これ以上、損が大きくならないうちに売却して損失を確定させること」を損切り(ロスカット)と言います。

これは、致命傷を避けるための非常に重要な戦略です。

「株価が10%下がったら売る」「この金額を下回ったら売る」など、株を買う前に自分だけのルールを決めておきましょう。

損を確定させるのは勇気がいりますが、ダラダラと損失を拡大させたり、資金を塩漬けにしたりするより、次の有望な投資先を探す方がはるかに賢明です。

2. 「分散投資」を心がける

一つの会社の株に全資産を集中させるのは、非常に危険です。その会社の業績が悪化すれば、あなたの資産も大打撃を受けてしまいます。

そうならないために、複数の銘柄や、異なる業種の会社に資金を分けて投資する「分散投資」を心がけましょう。もし一つがダメでも、他の投資先がカバーしてくれる可能性が高まります。

3. 長期的な視点でコツコツ投資する

特に初心者の方には、個別株の短期的な売買で利益を狙うよりも、投資信託などを利用して、「長期・積立・分散」を基本とした投資をおすすめします。

株初心者がプロ投資家に勝てる最大の方法の1つです。
変に初心者がリスクを取って投資するより良いと言えるでしょう(マジ)。

毎月決まった額をコツコツと積み立てていくことで、購入価格が平均化され、価格変動のリスクを抑えやすくなります。NISAなどの税制優遇制度をうまく活用するのも良いでしょう。

まとめ

「株価が暴落しても、上がるまで持っていれば損はしない」という考えは、

  • 理論上は損失は確定しないが、株価が戻らない、倒産するリスクがある。
  • 資金が長期間拘束される「塩漬け」は、大きな機会損失につながる。
  • 含み損を抱え続ける精神的ストレスは大きい。
  • 特に信用取引は、元本以上の損失(借金)のリスクがある。

という多くの落とし穴をはらんでいます。

大切なのは、「損はしたくない」という気持ちから目を背けるのではなく、リスクを正しく理解し、「損切り」や「分散投資」といった対策をあらかじめ準備しておくことです。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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