株式投資をしていると、「メジャーSQ」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
「SQの日は相場が乱高下しやすい」「株価が下がりやすい」といった話を聞いて、少し怖いイメージを持っている方もいるのではないでしょうか?
しかし、メジャーSQの仕組みを正しく理解すれば、いたずらに怖がる必要はありません。むしろ、相場の大きな動きを冷静に捉え、投資戦略に活かすヒントにもなります。
この記事では、投資初心者の方にも分かりやすく、以下の内容を徹底解説します。
・メジャーSQとは何か?
普段聞かない専門用語の意味から丁寧に解説
・なぜメジャーSQで株価が下がりやすいと言われるのか?
そのメカニズムを深掘り
・個人投資家はどう向き合えばいいのか?
注意点と心構え
この記事を読めば、メジャーSQへの漠然とした不安が解消され、自信を持って相場と向き合えるようになるはずです!
メジャーSQとは?

まず、「メジャーSQ」とは一体何なのか、基本的なところから見ていきましょう。
SQ = 特別清算指数
SQとは “Special Quotation” の略で、日本語では「特別清算指数」と訳されます。
これは、日経平均先物やオプション取引といった「金融派生商品(デリバティブ)」を満期日に決済するための「特別な価格(清算値)」のことです。
少し難しい言葉が並びましたが、簡単に言えば「先物・オプション取引の最終的な答え合わせをするための価格」とイメージしてください。
これらの取引は、将来の特定の日に、あらかじめ決められた価格で売買することを約束する取引です。
そして、その「将来の特定の日(満期日)」が来たときに、いくらで決済するのかを決める必要があります。
その決済のために算出されるのがSQ値なのです。
「メジャー」と「マイナー」の違い
SQには、年に4回の「メジャーSQ」と、年に8回の「マイナーSQ」があります。
- メジャーSQ: 3月、6月、9月、12月の第2金曜日
- マイナーSQ: 上記以外の月の第2金曜日
この二つの違いは、決済される商品の種類にあります。
メジャーSQでは、以下の4つの主要なデリバティブ取引が同時に満期を迎えます。
- 日経225先物
- TOPIX先物
- 日経225オプション
- 個別株オプション
多くの商品が一度に決済されるため、市場に与える影響が大きくなる傾向があります。これが「メジャー」と呼ばれる所以です。
一方、マイナーSQで満期を迎えるのは日経225オプションなど一部の商品のみです。
そのため、メジャーSQに比べて取引量も少なく、相場への影響は限定的とされています。
この記事のテーマである「株価が下がりやすい」という現象が特に注目されるのは、この影響力の大きい「メジャーSQ」の日ということになります。
なぜメジャーSQで株価が下がりやすいのか?
それでは、本題である「なぜメジャーSQで株価が下がりやすいのか?」という疑問について、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
これは、主に「裁定取引の解消」という動きが関係しています。
キーワードは「裁定取引(さいていとりひき)」

裁定取引(アービトラージ)とは、簡単に言うと「同じ価値を持つ商品の価格差を利用して利益を出す取引」のことです。
株式市場では、「現物株式(実際の株)」と「日経平均先物」の間で、理論上の価格よりも割高・割安といった歪み(価格差)が生じることがあります。
機関投資家などのプロは、このわずかな価格差を見つけて利益を積み重ねています。
具体的には、以下のような取引が行われます。
- パターンA:先物が割高な場合
- 割高な「先物」を売り
- 同時に、割安な「現物株式(日経平均を構成する銘柄群)」を買う
この「先物売り・現物買い」のポジションを「裁定買い残」と呼びます。
SQ日に起こる「ポジションの解消」

裁定取引で作ったポジションは、SQの日(満期日)までに必ず解消(決済)しなければなりません。
先ほどの「パターンA」のポジションを解消するには、取引を始めたときと正反対の売買を行う必要があります。
つまり、
- 売っていた「先物」を買い戻し
- 買っていた「現物株式」を売る
という取引が発生します。
メジャーSQの日には、この「裁定取引の解消」が膨大な量、かつ一斉に行われます。
特に、日本の株式市場では「先物が割高」になることが多く、「裁定買い残」が積み上がっているケースがほとんどです。
その結果、メジャーSQの日には、裁定買い残を解消するための「現物株式の大量の売り注文」が発生します。
これが、株価全体に下落圧力をかける最大の要因となるのです。
「魔の水曜日」と市場の混乱
「魔の水曜日」とは、「SQ値の算出がある週の水曜日は、相場が軟調になりやすい」というアノマリーです。
過去にも魔の水曜日に株価が乱高下することが多くあり、注目の一日となっています。
投資家心理と「アノマリー」
「メジャーSQの日は相場が荒れる」「株価が下がりやすい」という話は、市場関係者の間では一種の「アノマリー(理論的には説明しきれないが、経験則として観測される市場のクセ)」として広く知られています。
そのため、「SQが近いから、一旦利益確定の売りをしておこう」「下がるかもしれないから、今のうちに売っておこう」と考える投資家も出てきます。
こうした投資家心理が、実際の売りを呼び、自己実現的に株価を下げる一因となっている側面もあります。
まとめ:メジャーSQとどう向き合うか

最後に、ここまでの内容をまとめ、個人投資家がメジャーSQとどう向き合えば良いのかを考えてみましょう。
メジャーSQで株価が下がりやすい理由
- 裁定取引の解消が最大の要因。
- 積み上がった「裁定買い残」を解消するために、「現物株式の大量の売り」が発生し、相場全体への下落圧力となる。
- 「SQの日は荒れる」という投資家心理も、売りを誘発する一因。
この仕組みを理解した上で、個人投資家は以下の点を心に留めておくと良いでしょう。
- いたずらに恐れない
- メジャーSQによる株価の変動は、企業の業績や経済の本質的な変化が原因ではありません。
- あくまで金融派生商品の決済に伴う、一時的な需給の偏りによるものです。
- 長期的な視点で投資をしているのであれば、SQによる短期的な値動きに一喜一憂する必要はありません。
- ボラティリティ(価格変動)の高まりを認識する
- 株価が下がるだけでなく、乱高下しやすくなるのがメジャーSQの特徴です。
- 短期的な売買をメインにしている方は、予期せぬ損失を被るリスクが高まるため、注意が必要です。
- 投資初心者の方は、無理にSQの日に取引をせず、「休むも相場」の格言通り、静観するのも一つの賢明な判断です。
- 相場の流れを知る機会と捉える
- SQは、機関投資家がどのようなポジションを組んでいたのか、そしてそれがどう解消されるのかが表面化する日でもあります。
- SQ前後の市場の動きを観察することで、プロの投資家たちの動向や、現在の相場の力関係を肌で感じる良い機会にもなります。
関連の記事はこちら!
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/