なぜ人工ダイヤモンド関連銘柄の株価が上昇しているのか?住石HD・EDP・旭ダイアなど

人工ダイヤモンド関連銘柄 上昇理由 個別銘柄分析

2026年に入り、日本の株式市場で異彩を放つセクターがあります。それが「人工ダイヤモンド(ラボグロウン・ダイヤモンド)」関連銘柄です。

かつては「宝飾用」としてのイメージが強かった人工ダイヤモンドですが、今やその価値は「ハイテク産業の心臓部」へと劇的に変化しています。

特に2026年2月のトランプ大統領による発表を経て、関連銘柄の株価は乱高下を繰り返しながらも、投資家の熱い視線を集め続けています。

本記事では、この急騰の裏側にある「政治的背景」「技術的優位性」「個別銘柄の分析」を徹底解説します。

1. 人工ダイヤ銘柄の株価上昇の理由は?

今回の人工ダイヤモンド株の上昇は、単なる業績期待ではなく、極めて強力な「国策」が背景にあります。

日米関税合意と「対米投資」の第1号案件

2025年7月、トランプ米政権と日本政府の間で歴史的な合意がなされました。

  • 米国側の譲歩:日本からの輸出関税を25%(自動車は27.5%)から15%に引き下げ。
  • 日本側の対価総額5500億ドル(約85兆円)に及ぶ大規模な対米投資。

この莫大な投資プロジェクトの「第1号案件」として白羽の矢が立ったのが、米国内での人工ダイヤモンド生産事業でした。

2026年2月17日、トランプ大統領がこのプロジェクトを正式発表したことで、市場の思惑は確信へと変わり、資金が集中したのです。

2. なぜ「ダイヤモンド」に投資なのか?

米国がこれほどまでに人工ダイヤモンドに固執する理由は、主に2点あります。

① 中国依存からの脱却(デカップリング)

現在、人工ダイヤモンドの市場シェアの約9割は中国が握っています。

米国にとって、人工ダイヤモンドは単なる石ではありません。次世代半導体の基板として不可欠な「戦略物資」です。

中国がレアアースと同様に輸出規制を「外交カード」として使うリスクを回避するため、米国は日本が持つ高度な結晶成長技術を取り込み、米国内でのサプライチェーン完結を急いでいるのです。

② 「究極の半導体」としてのポテンシャル

現在主流のシリコン(Si)に対し、次世代のパワー半導体としてSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)が普及し始めています。

しかし、ダイヤモンドはそれらを遥かに凌駕する「究極の半導体素材」と呼ばれています。

  • 耐電圧:シリコンの約30倍。
  • 熱伝導率:銅の約5倍(熱を逃がす能力が世界最高)。
  • 電力損失:劇的に低減可能。

これにより、AIサーバーの冷却問題の解決、EVの航続距離の劇的延長、さらには6G通信や宇宙環境での高耐久デバイスなど、戦略的分野での需要が爆発的に増えることが予測されています。

3. 人工ダイヤ関連の本命銘柄

日本市場において、この「ダイヤモンド・ラッシュ」の恩恵を受ける主な銘柄を整理します。

本命銘柄:技術の源泉

銘柄名コード特徴・役割動向分析
EDP7794人工ダイヤ種結晶の世界的リーダー。CVD法に強み。「国策の象徴」
赤字決算ながら、対米投資の直接的な恩恵期待で買いが先行。
ボラティリティは極めて高い。
住石HD1514人工ダイヤ関連素材を手掛ける。投機資金の流入が激しく、材料出尽くしによるストップ安を経験するなど、需給面での警戒が必要。

周辺・加工銘柄:実需の恩恵

銘柄名コード特徴・役割動向分析
旭ダイヤモンド工業6140ダイヤ工具の国内大手。
加工技術に定評。
中国依存脱却の流れから、国内および米国での設備投資増による工具需要増が期待される。
テクニスコ2962精密加工技術。ヒートシンク(放熱板)に強み。ダイヤモンド半導体の実装には高度な加工と放熱設計が不可欠であり、中長期的な実需が見込まれる。

参照:https://kabutan.jp/themes/?theme=%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89

国際銘柄(参考)

  • Adamas One (NASDAQ: JEWL):米国内のラボグロウンダイヤメーカー。
  • De Beers Group:天然ダイヤの王者が「Lightbox」ブランドで人工市場を破壊・再構築中。

4. 注目技術「CVD法」と日本企業の強み

人工ダイヤモンドの製造法には大きく分けて2つあります。

  1. HPHT法(高温高圧法)
    • 天然の生成環境を模した方法。主に宝飾用や工業用研磨剤に使用。
  2. CVD法(化学気相成長法)
    • 炭素を含むガスから結晶を成長させる方法。「薄く、広く、高純度な」ダイヤ板を作ることができ、半導体ウェハに最も適している。

日本のEDP(7794)が持つ技術はこの「CVD法」に特化した種結晶製造であり、これが米国のハイテク戦略に合致したことが、今回の株価4倍超という熱狂を生んだ根源です。

5. 投資家が注目すべき「3つの視点」

今回のテーマを深掘りする際、以下の3点を考慮する必要があります。

視点①:ダイヤモンド半導体のロードマップ

実用化のメインシナリオは2030年頃です。

現在の株価上昇は、あくまで「工場の建設開始」や「国家間合意」というニュースに対する期待先行型です。

本格的な業績寄与には数年単位の時間がかかることを忘れてはいけません。

視点②:宝飾用市場との乖離

ラボグロウン・ダイヤモンド(LGD)は宝飾市場でも急拡大していますが、供給過剰により「価格の下落」が進んでいます。

しかし、半導体グレードの「高品質ダイヤ」は別物です。「安価な宝飾ダイヤ」と「高付加価値な工業ダイヤ」を分けて考える必要があります。

視点③:需給と「材料出尽くし」

2月17日のトランプ発表後に一部銘柄がストップ安となったのは、典型的な「セル・ザ・ファクト(事実で売る)」です。

また、EDPなどは新株予約権の行使などによる希薄化懸念も付きまといます。テーマ株特有の「需給の重石」には注意が必要です。

6. まとめ:目先の調整をこなしつつ、長期的な「国策」に乗る

人工ダイヤモンド関連株の上昇は、単なる一時的なブームではなく、「米中技術覇権」と「次世代エネルギー戦略」が交差する地点で起きています。

短期的には急騰の反動による調整が予想されますが、2026年から2027年にかけて対米工場の稼働や試作品の発表など、継続的なニュースフローが期待できるテーマです。

投資戦略のポイント:

  • 短期:ニュースに対する反応の速さを利用したデイトレード・スイング。
  • 中長期:ダイヤモンド半導体が「夢」から「実需」に変わるタイミングを見極めた押し目買い。

「国策に売りなし」という格言がありますが、その「時間軸」を見誤らないことが、このダイヤモンド・ラッシュで勝利するための鍵となるでしょう。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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