なぜACSLの株価が上昇しているのか?今後の株価も予想!

ACSL 銘柄分析 個別銘柄分析

「ドローン」という言葉をニュースや日常で見聞きする機会が増えてきましたね。

空を自由に飛び回り、様々な分野での活躍が期待されるドローンは、私たちの生活や産業に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。

そんなドローン業界で注目を集めているのが、純国産ドローンメーカーの株式会社ACSL(証券コード:6232)です。

最近、このACSLの株価がぐんぐん上昇しているのをご存知でしょうか?特に2025年6月12日にかけて、株価は目覚ましい動きを見せました。

「なぜこんなに上がっているの?」「この勢いは続くの?」と気になっている株式投資初心者の方も多いかもしれません。

この記事では、そんな疑問にお答えすべく、ACSLがどんな会社なのか、なぜ株価が上昇しているのか、そして今後の株価はどうなるのか、株初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

1. ACSLってどんな会社?~会社概要~

まずは、ACSLがどのような会社なのか、基本情報から見ていきましょう。

株式会社ACSLは、2013年11月に設立された、産業用ドローンの開発・製造・販売、そして自律制御技術を用いた無人化・IoT化ソリューションの提供を主な事業とする企業です。

特筆すべきは、ACSLが千葉大学発のベンチャー企業であるという点です。

ACSLは、2018年12月21日に東京証券取引所のグロース市場(旧マザーズ)に上場しました。

同社の事業の核となるのは、独自開発の自律制御システムを用いた産業用ドローンです。

これは、ドローンが人の手を介さずに自律的に飛行し、任務を遂行するための核心技術です。
具体的な用途としては、インフラ点検(橋梁や送電網など)、災害時の状況把握や救援物資の輸送、物流分野など、多岐にわたります。

また、ACSLは様々な国家プロジェクトや産官学連携にも積極的に参画しており 、これは同社の技術力と信頼性が国や学術機関からも認められている証左と言えるでしょう。  

このように、ACSLは高度な技術力を背景に、産業用ドローン市場で独自のポジションを築いている企業です。

2. なぜACSLの株価が上昇しているのか?~最新の株価動向と材料~

それでは、本題であるACSLの株価上昇の理由について見ていきましょう。

最も大きな要因として考えられるのが、無人航空機の衝突回避システムに関する国際規格「ISO 15964」の正式発行です。

この規格は2025年4月25日に国際標準化機構(ISO)より発行されたものですが、ACSLがこの規格策定に貢献したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに関わっていたことが、市場で改めて注目されたようです 。

実際に、6月12日のYahoo!ファイナンスの掲示板でも、このISO規格発行のニュースが株価の好材料として話題に上がっていました 。  

初心者の方のために補足しますと、ISO規格とは、製品やサービスの品質、安全性、運用手順などについて国際的に認められた基準のことです。
この「ISO 15964」は、ドローンが他の航空機や障害物と衝突するのを防ぐための「検知・回避(Detect and Avoid: DAA)」システムに関するもので、ドローンの安全な運用、特に人の目の届かない範囲での飛行や、より複雑な空域での利用拡大に不可欠な技術です。

このような国際標準の策定に関与することは、単なる技術的な成果に留まりません。

標準化によって、ドローン技術開発の方向性が統一され、各国の規制当局による法整備や社会実装が加速することが期待されます。

さらに、ACSLがNEDOのプロジェクトを通じてこのような重要な標準化活動に関与しているという事実は、同社が日本のドローン産業育成という国家戦略的な目標と強く連携していることを示唆しています。

これは、将来的な政府からの継続的な支援や、公共調達における有利な立場に繋がる可能性も考えられます。

株価は将来への期待を織り込んで動くものです。今回のISO規格発行とACSLの貢献が明らかになったことで、投資家は同社の技術的リーダーシップと将来の市場拡大への期待を高め、それが株価の急騰に繋がったと考えられます。

3. ACSLの今後の株価を大胆予想!~成長戦略と分析~

株価が上昇した理由は分かりましたが、気になるのは「この勢いは今後も続くのか?」という点でしょう。

ここでは、ACSLの将来性をファンダメンタル分析とテクニカル分析の両面から考察してみましょう。

3.1 ファンダメンタル分析:ACSLは成長企業?

ACSLの通期の業績推移を示しています。

これを見ると、2021年12月期から2024年12月期(予想含む)にかけて、営業利益、経常利益、最終利益がいずれもマイナス(赤字)であったことが分かります。

これは、ACSLが成長途上の企業であり、研究開発や市場開拓に積極的に投資を行ってきた結果と言えるでしょう。

特にハイテク分野のベンチャー企業では、先行投資が続くことで一時的に赤字となることは珍しくありません。

しかし、注目すべきは2025年12月期の会社予想です。

売上高は前期予想比92.5%増の51億1000万円と大幅な伸びを見込んでおり、さらに経常利益は1億8000万円、最終利益は3000万円と、黒字転換を計画しています。

これは非常に大きな変化であり、市場の期待を高める要因となります。  

営業利益については、13億9000万円の損失予想となっていますが、これには注意が必要です。

ACSLの発表によると、2025年12月期には国家プロジェクトに関連する研究開発費用として14億円を販管費に計上する予定です。

単純に利益が出ていないだけなので正常化すれば良い営業利益を出してきそう!

ACSLの成長戦略の柱

この黒字転換と持続的な成長を支えるために、ACSLはいくつかの重要な戦略を掲げています。

  1. 国家プロジェクト(SBIR等)の推進: ACSLは、経済安全保障重要技術育成プログラム(SBIRフェーズ3)などの国家プロジェクトに積極的に参画しています 。
  2. 地方自治体との連携強化と地方DX推進: ACSLは、地方自治体との連携を深め、ドローンを活用した地域課題の解決に注力しています。2025年12月期には、地方自治体案件で20億円の売上を目指しています。
  3. 米国市場への本格展開: 国内市場だけでなく、巨大な米国市場への進出も成長の大きな柱です。既に米国の有力な販売代理店Exertis Almo社と契約し、初年度500台の受注を獲得、うち100台は2024年12月期に納入済みで、残り400台は2025年前半に納入予定です。
  4. 国内既存事業の深耕と収益性改善: 防衛省などの主要顧客との関係を強化し、国内の既存事業でも安定した収益確保を目指します。2025年12月期には、国内既存事業で18億円の売上を見込んでおり、これには2024年12月期に受注した防衛装備庁向けの大型案件(3.7億円)の計上も含まれます。

財務健全性の評価

自己資本比率を見ると、2024年12月期末で2.0%と低い水準でしたが、2025年3月末(第1四半期末)には8.9%へと改善しています 。

有利子負債倍率は2023年12月期の0.98倍から2024年12月期には39.10倍へと急上昇しましたが、2025年3月末には9.05倍へと低下しています。

この変動は資金調達のタイミングと関連しており、調達した資金を成長投資に活かし、将来の収益で財務基盤を強化していくことが期待されます。

3.2 テクニカル分析

ACSLの日足チャートを見てみましょう。

  • 全体的なトレンド: 5月下旬から6月にかけて、非常に力強い上昇トレンドが形成されていることが分かります。
  • 移動平均線 (MA): 現状(6月12日時点)では、短期のMA(5)が中期のMA(25)の上にあり、そのMA(25)も長期のMA(75)の上に位置しています。
    • 短期線が中期線や長期線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」は買いシグナルとされますが、ACSLのチャートでは既にその状態が形成され、上昇トレンドが継続していることを示唆しています。
  • 出来高: 6月に入ってからの株価急騰局面で出来高も大幅に増加しています。
    • 株価が上昇する際に出来高が増加するのは、多くの投資家がその価格帯での取引に積極的に参加している証拠であり、上昇トレンドの信頼性を高めます。
  • 今後の株価:
    • サポート(下値支持線): 直近での平均株価である1200円がサポートとして意識される可能性があります。
      • 急に1200円まで株価が下落する可能性は低いと思いますが、利確などで1300~1400円まで下がったら押し目買いが良さそうです!
    • レジスタンス(上値抵抗線): 目先では、6月12日につけた高値1524円が上値抵抗線となる気がします。
      • まだまだ株価上昇の初期段階ではあるので一時的な下げはあるかもしれませんが、1500円をブレイクしてきたら上昇トレンドはまだ続くと思います!

テクニカル分析から見る今後のシナリオ

  • 強気シナリオ: 株価が直近高値の1524円を出来高を伴って明確に上抜けた場合、上昇トレンドの継続が期待されます。
    • 移動平均線も引き続き上向きを維持し、パーフェクトオーダーが継続すれば、さらなる高値を目指す展開も考えられます。
  • 保ち合いシナリオ: 急騰後には、利益確定売りなどから一時的に株価が調整し、一定の価格帯で揉み合う(保ち合い)展開も考えられます。
    • その場合、MA(5)やMA(25)がサポートとして機能するかどうかが注目されます。ここを割らずに反発できれば、再上昇のエネルギーを蓄える期間となるでしょう。
  • 弱気シナリオ(注意点): もし株価が重要なサポートライン(例えばMA(25)や、それ以前の重要な安値など)を出来高を伴って割り込んでしまうと、上昇トレンドが一服し、調整局面が深まる可能性も出てきます。

今回のACSLの株価上昇は、ISO規格発行という明確な好材料(ファンダメンタルズ)と、チャート上の強い買いシグナル(テクニカルズ)が一致した結果と言えるでしょう。

参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=6232

4. まとめ:ACSLの株は「買い」なのか?投資のポイント

ここまで、ACSLの会社概要、株価上昇の理由、そして今後の株価についてファンダメンタルとテクニカルの両面から分析してきました。

ACSLの魅力の再確認

  • 技術力の高い国産ドローンリーダー: 独自の自律制御技術を持ち、国際標準策定にも貢献するなど、高い技術力を有しています 。  
  • 明確な成長戦略と将来性: 国家戦略との連携、地方自治体との協業による市場開拓、そして米国市場への展開など、多角的な成長ストーリーが描かれています 。  
  • 黒字化への道筋: 2025年12月期には大幅な増収と経常黒字転換を見込んでおり、収益構造の改善にも注力しています。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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