ドル円が上がる/下がると日経平均株価はどうなるのか?過去の推移から相関について分析!

ドル円 日経平均株価 関係 株の知識

この記事では、1984年から2024年までの「日経平均株価」と「ドル/円相場」の長期推移チャートをもとに、為替と株価の相関関係を俯瞰し、今後の株式投資に役立つ示唆をまとめます。

プラザ合意やアベノミクスといった日本の重要なマクロイベントと併せて分析し、「為替リスク」「為替ヘッジ」「ポートフォリオ分散」をキーワードに、投資戦略を提案します。


1. バブル期(1984~1990年):プラザ合意前後の相関ピーク

日経平均株価
ドル円
  • 1984~1987年:ドル高・円安トレンドの中で、日経平均は右肩上がり。
    • バブルの胎動期。
  • 1985年(プラザ合意):ドル/円相場は200円台から一気に140円台へ急降下。
    • その後も日経平均は一時的な調整を経て上昇を続け、1989年末には38,915円の史上最高値を記録。
    • なぜ円高なのに株価が上がっていたかというと、円高で日本経済が悪化したため日銀は大幅に利下げを行ったことで円高進行にもかかわらず株価になりました。
  • 相関ポイント:円安が進行すると、輸出企業の業績見通しが改善し株価上昇圧力に。
    • 一方、円高局面では逆に腰折れする構図が鮮明に。

2. 失われた30年(1990~2012年):円高定着と株価低迷の構図

日経平均株価
ドル円
  • 1990年代前半:バブル崩壊後、日経平均は下落トレンド。
    • ドル/円は150円→100円台へと円高が進み、企業収益の重しに。
  • 2000年代:ITバブル崩壊やリーマン・ショックを通じ、ドル/円は概ね100~120円でレンジ。
    • 日経平均は15,000円前後の揉み合い。
  • 特徴的な相関:為替変動幅が小さい一方で、低ボラティリティ相場での株価復活力は限定的。
    • 日本市場の投資魅力低下が顕著に。

3. アベノミクス相場(2012~2020年):為替相場と株価の再連動

日経平均株価
ドル円
  • 2012年以降:安倍政権の大規模金融緩和により、ドル/円は約80円から125円まで急騰。
  • 日経平均の反応:「アベノミクス相場」と呼ばれる強いアク抜け上昇局面。
    • 2015年に20,000円台回復、2018年初頭には24,000円超えを達成。
  • 相関再構築極端な金融緩和→円安誘導→輸出企業の業績拡大、という典型パターンが再現。
    • 円安になると日経平均株価が上がりやすい。

4. コロナ禍以降の変化(2020~2024年):物価と金融政策の新潮流

日経平均株価
ドル円
  • 2020年以降:新型コロナ禍での世界的な金融緩和/財政出動が恒常化。
    • 為替は100~115円でレンジ、日経平均は30,000円前後で上下動。
  • 2022年以降の円安急進:米国FRBのハト派→タカ派転換に伴い、ドル高・円安が再加速
    • ドル/円は一時160円目前に。日経平均も30,000円台を推移
  • 足元の示唆:インフレ抑制の金融引き締めで為替と株価は逆方向に動きやすい。
    • ドル高・円安の進行が株価・輸出企業業績に与える影響は限定的に。

参照:https://jp.tradingview.com/chart/dE0oEEAz/?symbol=FX_IDC%3AUSDJPY


5. ドル円と日経平均株価の相関ポイント

  1. 長期的な相関構造
    • 大きな円安局面では日経平均も高値を示し、円高局面では株価が軟調。
    • マクロ環境による「株高=円安、株安=円高」の構造が繰り返されている。
  2. 相関の変容
    • 1990年代~2000年代前半は相関が弱く「株安・為替レンジ」が継続。
    • アベノミクス以降は再び強い相関が生じたが、最近は再び一時的に相関が薄れる局面も。
  3. マクロ政策の影響度
    • プラザ合意、アベノミクス、コロナ金融緩和、米国FRBの金融引き締めなど大規模政策イベントが、為替と株価を同時に揺さぶっている。

6. 今後の投資戦略への応用

  1. 為替リスクの重視とヘッジ戦略
    • 企業業績や海外売上比率の高い銘柄に投資する際は、円高リスクが直撃する可能性を常に織り込む。
    • 金利差拡大期は急激な為替変動が起きやすいため、ETFやオプションなどを活用したヘッジを検討。
  2. マクロイベントの先回り投資
    • 米国CPIやFRB政策会合、日銀金融政策決定会合、政府の財政出動パッケージ発表など、主要イベント前後で為替が動きやすい。
    • ポジション組成前にカレンダーを押さえ、イベント前後のボラティリティを想定。
  3. 銘柄選別:輸出 vs 内需
    • 円安期は輸出関連(機械、電機、自動車)を中心に物色。
    • 円高・国内景気回復期は内需関連(小売、サービス、不動産)へシフト。
    • 相関の振れ幅に応じてセクターローテーション戦略を組む。
  4. 為替と株価の“デコレーション”を見極める
    • 長期トレンドと短期トレンドを区別し、ファンダメンタルズとテクニカルの両観点で分析。
      • 例)ドル/円がトレンド転換し、かつ日経平均が調整入りする「Wシグナル」による売りタイミングの精緻化。
  5. グローバル分散投資の活用
    • 為替変動に左右されにくい現地株投資(米国株、欧州株)や、金利差メリットを享受できる高金利通貨建て資産(南アランド債、メキシコペソ債など)を組み入れ、総リスクを低減。

まとめ

長期にわたる「ドル/円」と「日経平均株価」の推移を俯瞰すると、マクロ政策や国際的な金利差、投資家センチメントが為替と株価を同調させる「強い相関期」と、逆にデータのレンジ相場が続く「弱い相関期」が交互に現れてきたことが分かります。

今後の株式投資では、

  • 為替リスクを無視せず
  • マクロイベントの先回りを意識し
  • セクターや資産クラスを適宜ローテーションし
  • グローバル分散とヘッジを巧みに組み合わせる

ことで、リターンの最大化とリスク抑制を両立できるでしょう。ぜひ本稿を参考に、次の投資シナリオ策定にお役立てください。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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