今回注目するのは、宅配便最大手企業であるヤマトホールディングス(9064)について分析します。
同社は2024年1月から株価が下落し続けていましたが、2025年からは株価が反発し上昇トレンドを更新しています。
本記事では、ヤマトホールディングス(9064)の株価上昇の背景を解説するとともに、今後の業績や株価の見通しについて詳しく考察します。
結論
ヤマトホールディングス(9064)の株価が上昇している理由
・業績悪化の織り込みによる反発
・(保有不動産の売却による)業績予想の上方修正
・2020年の安値付近でのテクニカル的な反発
1. 会社情報

ヤマトホールディングス(ヤマトHD)は、日本国内で圧倒的なシェアを誇る宅配便事業を展開する企業です。
国内市場では約4割強のシェアを持ち、法人向けの物流サービスにも注力しています。
特に、EC(電子商取引)の拡大を背景に、専用ネットワークの構築など構造改革を進めています。
2. ヤマトHDの株価上昇の理由は?
まずこれまでの株価下落の背景
ヤマトHDの株価は、過去数年間にわたり下落傾向にありました。
その主な下落要因として、
- 業績の下方修正
- コンセンサス予想を下回る決算発表
- 外注コストの増加による利益率の悪化
が挙げられます。
これらの要因により、投資家の期待を裏切る形となり、株価が低迷していました。
2025年に入り株価が上昇した理由
2025年に入ると、ヤマトHDの株価は上昇基調に転じました。
その背景には、以下の3つの理由が挙げられます。
1. 悪材料の織り込みと回復期待
これまでの業績悪化により、株価はすでに十分に下落していたため、悪材料が株価に織り込まれた状態となっていました。
加えて、2025年度以降は買収した子会社の業績がフル寄与することが見込まれ、業績回復への期待が高まりました。その結果、株価は反発の動きを見せ始めました。
2. 業績予想の上方修正
3月21日の取引終了後に、ヤマトHDは2025年度の業績予想を上方修正しました。
特に、最終利益を従来の180億円から360億円(前期比4%減)へと大幅に引き上げました。
この上方修正の背景には、本社ビルなどの保有不動産を3月28日付で売却し、242億円の売却益を特別利益に計上することが影響しています。
これにより、資本効率の改善が見込まれ、投資家の関心を集めました。
3. テクニカル的な下値支持線での反発
ヤマトHDの株価は、2020年のコロナショック時の安値付近まで下落していました。
この水準は強い下値支持線として機能しており、テクニカル的な買いが入りやすい状況でした。
その結果、反発の動きが生じ、株価上昇の一因となりました。
3. 今後の株価を考察
ファンダメンタル分析

ヤマトHDの業績は、ここ数年で最も悪い水準にあると言えます。
しかし、今後これ以上悪化する可能性は低いと考えられます。
ただし、長期投資には向かない銘柄である可能性が高いです。
3月21日に発表された業績予想の上方修正は、一時的な要因(不動産売却益)によるものです。
つまり、持続的な業績改善による利益成長ではなく、一時的な利益計上によるものなので、株価がこの影響を長期間維持できるとは考えにくいです。
そのため、ファンダメンタル分析に基づいて投資をする場合、業績が継続的に回復する確信が持てる状況になるまでは慎重に判断すべきでしょう。
テクニカル分析

2025年に入ってから、ヤマトHDの株価は上昇トレンドを形成しており、出来高も増加傾向にあります。
現状では、25日移動平均線が下向きになるまでは買いのタイミングと考えられます。
また、2020年の安値付近での反発という点も注目すべきポイントです。
この価格帯は強い支持線となる可能性があり、大きなレンジ相場の中での反発と考えることができます。
そのため、2022〜2023年の平均株価である2,200円を目指す上昇余地があると言えるでしょう。
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=9064
4. まとめ
ヤマトHDの株価は、過去数年間にわたる業績不振の影響で下落していましたが、2025年に入って上昇傾向に転じています。上昇の要因としては、
- 業績悪化の織り込みによる反発
- 3月21日の業績予想の上方修正
- 2020年の安値付近でのテクニカル的な反発
が挙げられます。
今後の株価動向を考える上で、ファンダメンタル面では業績回復の持続性が鍵となります。
一方、テクニカル面では、上昇トレンドが継続するか、特に2,200円付近までの上昇余地があるかに注目が集まります。
投資判断をする際は、短期的な上昇を狙うのか、それとも長期的な業績回復を待つのか、自身の投資スタイルに合った戦略を立てることが重要です。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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