米国株市場では引き続き好調な推移が見られ、主要株価指数であるS&P500は、12月の第1週時点で前年比27.68%の上昇を記録しています。
NISAを活用している多くの投資家にとってメジャーな投資先であるS&P500は、来年も上昇するのか気になると思います。
今回は、過去30年間のデータやアナリスト予想をもとに、その可能性を検証してみたいと思います。
結論
2025年のS&P500は上昇しそう
・過去30年間のS&P500の動きを分析すると、73.3%の確率で上昇
・米国市場には「大統領選挙の翌年は株高傾向にある」というアノマリーが存在
・各アナリスト予想でも上昇見込みで、S&P500の目標値を6500~7000に修正
2025年のS&P500は上昇するのか?
過去30年の実績
過去30年間のS&P500の動きを分析すると、上昇した年が22回、下落した年が8回と、実に73.3%の確率で上昇しています。
このデータから、S&P500は長期的に安定した成長を見せており、投資家にとって信頼性の高い資産クラスといえます。
特に、年間平均リターンが10.62%であることから、複利効果を活かした長期投資において大きな成果を期待できる指数であることが分かります。
一方で、過去のデータは26.7%の確率で下落する年が存在することも示しており、市場の不確実性を無視することはできません。
このように、S&P500は過去の実績からみても有望な投資先ではありますが、短期的な変動や予期せぬ暴落に備える姿勢も同時に必要です。
2025年もS&P500は上昇しそうな理由
米国市場には「大統領選挙の翌年は株高傾向にある」という経験則(アノマリー)が存在します。
この見方は、過去のデータによっても裏付けられています。
実際、過去10回の大統領選挙年の翌年におけるS&P500のパフォーマンスを分析すると、算術平均で+18.9%の上昇を記録しています。
この傾向は、政策期待や経済刺激策の影響が株価に反映されやすいことに起因していると考えられます。
特に、2025年は新大統領が1月20日に就任することから、「就任後100日」の政策期待による株価上昇が注目される年となるでしょう。
参照:https://media.rakuten-sec.net/articles/-/47216?page=4
さらに、2025年のS&P500の上昇が期待されるもう一つの理由は、企業業績の好調さにあります。
最新の市場予想では、S&P500指数とナスダック100指数におけるEPS(一株当たり利益)が、2024年から2026年にかけて史上最高益を更新し続けると見込まれています。
この成長は、売上拡大、生産性の改善、自社株買いといった要因に加え、AI(人工知能)革命の進展がもたらす収益拡大が主要なドライバーとなっています。
特に注目すべきは、S&P500の時価総額ウェイト上位10社のうち8社を占めるナスダック主力銘柄(大手テック株)の成長ペースです。
これらの企業は、AI技術の進化によって新たな収益機会を掴んでおり、今後数年間にわたって市場をけん引する存在として期待されています。
このようなファンダメンタルズ(業績見通し)の強さは、S&P500およびナスダック100の強気相場を引き続き支える要因となるでしょう。
これらの観点から、2025年のS&P500指数はさらなる上昇が見込まれ、強気相場が継続する可能性が高いと予想されます。
各アナリスト予想
JPモルガン:2025年のS&P500の目標を6500に引き上げ
JPモルガン(JPMorgan)は長らくウォール街の弱気派の一角を担っていましたが、ついにその姿勢を改め、強気派に転じました。
具体的には、JPモルガンは2025年末のS&P500の目標値を、これまでの2024年末の目標値(4200)から55%引き上げ、6500と予想しています。
これにより、現在の水準から約8%の上昇が見込まれる形となります。
JPモルガンのストラテジスト、ドゥブラヴコ・ラコス=ブジャス(Dubravko Lakos-Bujas)は、「米国株式市場は、景気サイクルの拡大とAI革命による利益成長、アメリカ例外主義の継続が支えるだろう」と述べています。
また、世界の中央銀行が緩和的な金融政策を継続し、2025年初頭には米連邦準備制度理事会(FRB)が量的引き締めを終了することで、市場全体にさらなる追い風が吹くと見込んでいます。
JPモルガンは、AI関連技術が今後数年間にわたる経済成長の主要な原動力となる可能性を強調しており、これがS&P500にとって重要な支援材料となると考えています。
ドイツ銀行:2025年末までにS&P500が7000に到達する可能性を指摘
2023年11月25日、ドイツ銀行はS&P500が2025年末までに7000ポイントに達するという予想を公表しました。
これは現在の水準から約17%の上昇を意味します。
この予測の背景として米国企業の堅調な業績拡大や過去2年間における株式市場への資金流入の増加や、自社株買いの強力な支援が引き続き株価を押し上げる要因になると見ています。
同時に、主要企業の収益性を示す1株当たり利益(EPS)が2025年には282ドルに達するとの見通しを発表し、業績の裏付けがある強気予測であるとしています。
英バークレイズ:予測をさらに上方修正し、6600をターゲットに
同じく11月25日、英バークレイズもS&P500の2025年末目標値を従来の6500から6600に引き上げました。
同社は、米国経済が底堅く推移する中でインフレが鈍化し、巨大IT株を中心とした堅調な業績見通しが全体の上昇を牽引すると予測しています。
さらに、同社はS&P500構成銘柄全体のEPS見通しを271ドルから273ドルへ上方修正。特に巨大IT株が引き続き市場全体を牽引するという見方を強調しました。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーも強気予測
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーも先週、2025年末までにS&P500が6500に達するとの見通しを示しました。
両社ともに、AI(人工知能)革命が企業の収益成長を加速させ、これが市場全体を押し上げる原動力になると見ています。
ゴールドマン・サックスは特に、「AI関連投資が今後数年間にわたる成長の中心にある」と指摘。モルガン・スタンレーもこれに同調し、AI技術の普及がITセクターのみならず、ヘルスケアや金融など他の分野にも波及効果をもたらす可能性があると述べています。
まとめ
2025年のS&P500の株価については、多くのアナリストや市場関係者が強気の見方を示しており、全体として楽観的な雰囲気が漂っています。
実際、2025年の前半にはトランプ政権の新たな任期開始や、利下げを含む金融緩和の効果によって、S&P500は上昇基調を維持すると考えられます。
特に「大統領就任後100日間」の政策期待は市場を押し上げやすく、2025年前半は堅調な相場が続く可能性が高いでしょう。
しかしながら、相場が過熱し「まだまだ上昇する」という市場の楽観ムードが高まった際、調整局面に入る可能性も否めません。
私は2025年のS&P500は、全体的には前向きな展望が多いものの、後半には調整が入るのではないかと思っています。
そのため、楽観的な予測に過信せず、市場の動向を注視しつつ柔軟な対応をするのが大切です!
ちなみに、現在の米国経済はピーク真っ最中と噂されており、数年以内に大暴落がくることは確実でもあります。
それがいつなのかは誰もわからないので、短期的な上下動に惑わされず、以下のような長期的な投資スタンスを維持することをお勧めします!
特に長期投資家にとっては、2025年も堅調な収益を期待できる絶好の機会といえます。
冷静さと戦略的な視点を持ちながら、将来に向けた資産形成を進めていきましょう。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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