半導体業界は、AIや自動運転技術、IoT(モノのインターネット)など、次世代のテクノロジーを支える重要な分野として注目を集めています。
そのため、株式市場でも半導体関連銘柄は常に注目の的となっています。
そして、
「専門用語が多くて難しい」
「どの企業に投資すれば良いかわからない」
「価格変動が激しそうで怖い」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな半導体株投資の悩みを解決するため、以下の点を網羅的に解説します。
・半導体業界の全体像と仕組み(ビジネスモデル)
・半導体株に投資する魅力と注意点
・失敗しないための銘柄の選び方【3つのポイント】
・日本と米国の代表的な注目企業
・初心者にもおすすめな「半導体ETF」という選択肢
短期的な株価の上下に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で半導体業界の成長を捉えるための知識が身につく内容になっています。
ぜひ最後までご覧いただき、あなたの投資戦略の参考にしてください!
1. そもそも半導体とは?

半導体株を理解するには、まず業界の構造を知ることが不可欠です。
半導体は、電気を通す「導体」と通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質で、この性質を利用して電気の流れを制御し、情報の記憶・演算処理などを行います。
半導体業界は、一つのチップが完成するまでに多くの企業が関わる巨大なサプライチェーン(供給網)で成り立っており、主に以下の工程に分業されています。
| 工程 | 役割 | 代表的な企業 |
|---|---|---|
| 設計 | 半導体の回路を設計する。 自社で工場を持たない「ファブレス」と呼ばれる企業が多い。 | NVIDIA, AMD, Qualcomm |
| 製造装置 | 設計図を基に半導体チップを作るための機械(装置)を開発・製造する。 | 東京エレクトロン, ASML, Applied Materials |
| 製造(前工程) | シリコンウエハーと呼ばれる円盤状の基板に回路を焼き付ける。 専門の受託製造企業「ファウンドリ」が中心。 | TSMC, Samsung |
| 後工程 | 完成したウエハーをチップごとに切り出し、パッケージングして製品化する。 性能を検査する工程も含む。 | アドバンテスト, ディスコ |
| 素材 | シリコンウエハーや製造に必要な化学薬品などを供給する。 | 信越化学工業, SUMCO |
このように、各分野に高い専門性を持つ企業が存在し、それぞれが重要な役割を担っています。
特定の企業の株価だけでなく、業界全体のニュースや動向を追うことが、半導体株投資の鍵となります。
2. 【日本株】おすすめ半導体関連銘柄
日本の半導体業界は、最終製品を作るメーカーは減ったものの、製造装置や素材の分野で世界トップクラスのシェアを誇る企業が数多く存在します。
以下の選定理由としては、日本での半導体関連銘柄の中で特に影響力があり半導体ブームの恩恵を初めに受ける先導銘柄でもあるので、これから投資していくならニッチな銘柄ではなくトップ銘柄を選択した方がいいと考えました。
東京エレクトロン (8035)

半導体製造装置(前工程)で世界トップクラスのシェアを持つ、日本を代表する企業です。
ウエハーに回路を形成するための塗布・現像装置(コータ/デベロッパ)や、エッチング装置など、幅広い製品ラインナップに強みを持ちます。
世界中の半導体メーカーを顧客に持ち、業界の設備投資動向を測る上でも重要な存在です。
ファンダメンタル分析

2025年3月期は過去最高の売上高と利益を達成する見込みで、極めて好調です。
しかし、2026年3月期の会社予想では売上・利益ともに約18%減少する見通しとなっており、AIブームがひと段落して、半導体市場の「シリコンサイクル」による調整局面が意識されています。
テクニカル分析

2024年4月に付けた高値40,860円から調整局面に入り、下落トレンドが続いていました。
しかし、10月に入り31,520円まで反発を見せており、下落はいったん落ち着いた可能性があります。
現在は短期・中期の移動平均線が上向きに転じており、短期的な反発が期待できる形です。
しかしながら、30000円が意識されるラインなのでここで天井になる可能性もあり、ブレイクしたら買い継続になるでしょう!
アドバンテスト (6857)

完成した半導体が正常に動作するかを検査する「テスター(後工程)」の分野で世界的な大手です。
半導体の高性能化・複雑化が進むほど、検査の重要性は増していくため、今後の需要拡大も期待されます。
ファンダメンタル分析

2025年3月期、2026年3月期ともに大幅な増収増益を見込んでおり、業績は非常に好調です。
特に2026年3月期は営業利益が30万円台に乗る予想となっており、AI半導体向けのテスター需要の力強さを背景に、高い成長が継続する見込みです。
テクニカル分析

2024年の半導体ブームで恩恵はあったのですが、2025年にしっかり投資家から注目されて出遅れで株価が上昇した形になります。
直近では2025年10月7日に18,830円の最高値を付けており、過熱感はあるものの、買いの勢いが非常に強い状況です。
しかしながら、10月で上髭を付けていることから天井は近いかもしれませんが18000円台をブレイクしたら強い上昇トレンドは継続しそうです!
ディスコ (6146)

シリコンウエハーを精密に「切る(ダイシングソー)」「削る(グラインダ)」「磨く(ポリッシャ)」装置で圧倒的な世界シェアを持つ企業です。
これらの技術は半導体の後工程に不可欠であり、高い技術力でニッチな市場を独占する「ニッチトップ」企業の典型例です。
ファンダメンタル分析

2025年3月期は売上高が前期比約28%、営業利益が約38%増と、大幅な増収増益を見込んでおり、業績の成長が加速しています。
ウエハーの切断・研磨装置で圧倒的な世界シェアを誇っており、半導体生産量の増加が直接的に業績拡大に繋がっています。
テクニカル分析

2023年以降、力強い上昇トレンドを形成しています。
2025年7月に68,850円の高値を付けた後、一時的に調整しましたが、下値を切り上げながら再び上昇に転じています。
直近では10月7日に57,060円まで上昇しており、全ての移動平均線が上向きであることから、買い意欲の強さがうかがえます。
東京エレクトロン同様、新高値更新チャレンジをしており、ここをブレイクしたらまだまだ株価は伸びそうです。
逆に60000円くらいで撃ち落とされたら株価のV字復活は厳しそうですが、まだ高値更新チャレンジ中なので短期・中期的には買いでもいいかもしれません。
3. 【米国株】おすすめ半導体関連銘柄

設計や開発といった上流工程では、米国企業が圧倒的な存在感を放っています。世界のテクノロジートレンドを生み出す企業が揃っています。
以下の選定理由としては、全世界での半導体関連銘柄の中で特に影響力があり半導体ブームの恩恵を初めに受ける先導銘柄でもあるので、これから投資していくならニッチな銘柄ではなくトップ銘柄を選択した方がいいと考えました。
NVIDIA (NVDA)

AI(人工知能)向けGPU(画像処理半導体)の分野で独占的なリーダーです。
元々はPCゲームのグラフィック向上で名を馳せましたが、GPUがAIのディープラーニングにおける並列計算に適していることが分かり、データセンター向けで爆発的に需要が拡大しています。
ファンダメンタル分析

2025年1月期の業績は、売上高が前期比2.1倍、営業利益は2.5倍と驚異的な成長を遂げており、AI向け半導体需要の爆発的な拡大を明確に示しています。
一株利益も2.5倍に増加しており、収益性が飛躍的に向上しています。
テクニカル分析

2023年半ばから非常に強い上昇トレンドが続いており、株価は右肩上がりで推移しています。
全ての移動平均線が上向きで株価をサポートしており、買いの勢いが衰えていないことを示唆しています。
2025年10月10日には195.62ドルの高値を更新しており、市場からの期待が非常に高い状態です。
現在200ドルチャレンジをしており、ここをブレイクするか次第で今後の半導体全体の株価の上下が決まりそうです。
しかしながら、10月で陰線を付けているので月末までに陽線にならないとなかなか難しいのではないかと思います。
AMD (AMD)

NVIDIAと同じく、CPU(中央演算処理装置)とGPUの両方を手掛ける半導体メーカーです。
長年インテルの後塵を拝していましたが、近年はCPU「Ryzen」シリーズで評価を高め、サーバー向けやゲーム機向けでもシェアを拡大。
NVIDIAの対抗馬として、AI向け半導体の開発にも力を入れています。
ファンダメンタル分析

2023年12月期は業績が落ち込みましたが、2024年12月期は回復を見込んでおり、特に営業利益は前期比4.7倍と大幅な改善が予想されています。
NVIDIAの対抗馬としてAI向け半導体の開発を進めており、今後のデータセンター向け需要の取り込みが業績拡大の鍵となります。
テクニカル分析

2024年3月に227.30ドルの高値を付けた後、調整局面となり株価は下落しましたが、8月に底を打ち反発に転じています。
直近では10月16日に241.20ドルの高値を更新し、全ての移動平均線が上向きの強い上昇トレンドに復帰しており、市場の期待が高まっている状況です。
そのため、NVIDIAよりもチャート的には力強さがあり、新高値更新をしているのでこのまま上昇していく可能性が高いでしょう!
しかしながら、半導体全体の景気に影響されるので不況にならない前提です・・・
ASML (ASML)

厳密にはオランダの企業ですが、米国ナスダック市場に上場しており、米国株投資家にとって最も重要な企業の一つです。
最先端半導体の製造に不可欠な「EUV露光装置」を世界で唯一製造・販売しています。
この装置なくしては、数ナノメートル単位の微細な回路を焼き付けることは不可能であり、半導体業界の進化の鍵を握る超優良企業です。
ファンダメンタル分析

2023年12月期に売上高・利益ともに大きく成長しましたが、2024年12月期の会社予想では利益が微減する見通しです。
最先端の半導体製造に不可欠なEUV露光装置を独占的に供給しているため、長期的な需要は非常に強いものの、顧客である半導体メーカーの設備投資計画の変動が短期的な業績に影響します。
テクニカル分析

2024年7月に1110.09ドルの高値を付けた後、調整局面に入りましたが、2025年4月の安値578.51ドルを底に反発しています。
直近では10月6日に1059.00ドルまで上昇し、全ての移動平均線が上向きに転じているため、再び上昇トレンドに回帰する可能性を示唆しています。
4. 投資初心者にはETF(上場投資信託)もおすすめ
「個別企業を分析するのは難しい」「まずは業界全体に投資したい」という方には、半導体関連銘柄をパッケージ化したETF(上場投資信託)がおすすめです。
グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF (2644)

日本の半導体関連企業にまとめて投資できるETFです。
この記事で紹介した東京エレクトロンやアドバンテストなども組み入れられていますので分散投資で半導体株に投資が可能です。
iシェアーズ 半導体 ETF (SOXX)

SOXLのレバレッジがかかっていない、通常の米国半導体ETFです。

NVIDIAやAMD、Qualcommなど米国の主要な半導体企業30社以上に分散投資できます。
長期的な視点で米国半導体業界の成長に投資したい場合に最適な選択肢の一つです。
Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF (SOXL)

米国の主要な半導体関連企業で構成される「ICE半導体指数」の日々の値動きの3倍を目指す、レバレッジ型のETFです。
大きなリターンが期待できる反面、下落相場では損失も3倍になるハイリスク・ハイリターンな商品です。
短期的な取引を目的とした上級者向けのETFと言えます。
5. 半導体株に投資する魅力と注意点
次に、半導体株投資のメリットと、知っておくべきリスクについて解説します。
魅力:高い成長性
最大の魅力は、その長期的な成長性です。
- AI市場の拡大: AIの学習や推論には高性能な半導体(特にGPU)が不可欠であり、需要は爆発的に増加しています。
- 自動車の進化: 自動運転やEV化に伴い、一台の車に搭載される半導体の数は飛躍的に増えています。
- IoTの普及: あらゆるモノがインターネットに繋がる社会では、センサーや通信用の半導体が無数に必要になります。
これらのメガトレンドはまだ始まったばかりであり、半導体業界は今後数十年にわたって成長が期待される分野です。
注意点:シリコンサイクルと地政学リスク

一方で、注意すべき点もあります。
- シリコンサイクル:
- 半導体業界には、需要と供給のバランスによって好況と不況が数年周期で繰り返される「シリコンサイクル」と呼ばれる景気の波があります。
- 需要の急増で各社が設備投資を増強し、その結果供給過剰になって市況が悪化する、というサイクルです。
- 短期的な業績の変動が大きくなる傾向があるため、長期的な視点を持つことが重要です。
- 地政学リスク:
- 半導体は国家の安全保障を左右する戦略物資となっており、米中間の技術覇権争いに見られるように、各国の政策や規制の影響を強く受けます。
- 関連ニュースには常に注意を払う必要があります。
6. まとめ
半導体は、私たちの未来を形作る上で欠かせない基幹技術です。
シリコンサイクルによる短期的な浮き沈みはありますが、AIやEV、IoTといった巨大なトレンドが続く限り、半導体業界の長期的な成長は揺るがないでしょう。
今回ご紹介したポイントや企業を参考に、ぜひご自身でも各社の事業内容や強みを調べてみてください。
サプライチェーンのどの部分で輝いている企業なのかを理解することで、より深く、そして安心して半導体株への投資判断ができるようになるはずです。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/




