2025年5月の決算シーズンで企業の株主還元策として注目を集めているのが「自社株買い」です。
中でも、今回紹介する5社(京セラ、MIXI、メガチップス、クラレ、三菱ケミカルG)は、決算発表とあわせて“大規模”の自社株買いを発表し、市場で大きな話題となりました。
この記事では、各社の自社株買いの内容、株価へのインパクト、そして今後の理論株価まで詳しく解説します。株式投資家にとっては見逃せない注目材料となっています。
自社株買いとは?なぜ株価が上がるのか?
まず簡単に「自社株買い」についておさらいしておきましょう。
自社株買いとは、企業が市場から自社の株式を買い戻す行為です。
主な目的は以下のとおりです。
- 発行済株式数が減ることで1株あたりの価値(EPS)が向上
- 株主還元としての意味合い
- 株価の下支えや上昇期待
特に、市場価格に対して買い付けの金額や株数が大きい場合、「需給が改善」され、株価は上昇しやすくなります。では、今回の5社の発表内容を順に見ていきましょ
1. 京セラ(6971)——発行済株式数の9.67%を買い戻し!

自社株買いの概要
- 取得上限株数: 136,240,000株
- 取得総額: 2,000億円
- 取得期間: 2025年5月15日~2026年3月24日
- 株価(2025年5月時点): 1,796円
- 発行済株式に対する割合: 約9.67%
実現可能性と理論株価

現株価1,796円で2,000億円を使うと、約1億1,140万株を買い付け可能です。
これは、最大取得株数(1億3,624万株)には届きませんが、**発行済株式の約7.9%**に相当します。
【理論株価上昇率の目安】
一般的に、発行済株式数の7.9%を消却する場合、需給インパクトから約8〜9%程度の株価上昇が見込まれます。
👉 理論株価:1,796円 × 1.08 = 約1,940円前後
予想
京セラは、業績が安定している中で大規模な資本政策を断行。
市場の評価次第では、2,000円超えも視野に入ります。
また、業績も2倍くらい回復予想なのでその影響でも株価は上昇していくのかなと思われます。
これは長期投資家にとって非常に魅力的な水準です。
参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=6971
2. MIXI(2121)——業績不振から一転、株主還元に本腰

自社株買いの概要
- 取得上限株数: 4,750,000株
- 取得総額: 95億円
- 取得期間: 2025年5月15日~2026年3月末
- 株価(5月時点): 3,345円
- 発行済株式に対する割合: 約7.01%
実現可能性と理論株価

95億円 ÷ 3,345円 ≒ 約2,840,598株を取得可能です。
発行済株式の約4.2%を市場から消却することになるため、理論株価は約4%〜5%上昇と予測。
👉 理論株価:3,345円 × 1.045 = 約3,490円
予想
業績自体は低迷が続きそうではありますが、その分下がった株価を買って価値を上げていく算段だと思われます。
私の予想的には3000~3500円でレンジになると思います。
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=2121
3. メガチップス(6875)——10%の自己株式取得&即消却の衝撃

自社株買いの概要
- 取得上限株数: 1,700,000株
- 取得総額: 100億円
- 取得期間: 2025年5月15日~2026年4月30日
- 株価(5月時点): 4,950円
- 発行済株式に対する割合: 10.0%
実現可能性と理論株価

100億円 ÷ 4,950円 ≒ 約2,020,202株を買い付け可能。これは上限(170万株)を上回っており、計画達成は十分可能です。
10%の自己株式取得と消却は、極めてポジティブなサイン。
需給面での改善は非常に大きく、10%前後の株価上昇が見込まれます。
👉 理論株価:4,950円 × 1.10 = 約5,445円
予想
半導体設計企業として高収益体質を持つメガチップス。
大規模な株主還元と消却を併せて実施する点で、非常にインパクトがあります。
しかしながら、業績自体は低迷状態が継続しているのでなかなか株価は上がりにくそうではあります。
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=6875
4. クラレ(3405)——安定経営×高還元の見本

自社株買いの概要
- 取得上限株数: 22,000,000株
- 取得総額: 300億円
- 取得期間: 2025年5月15日~2025年12月15日
- 株価(5月時点): 1,793円
- 発行済株式に対する割合: 約6.79%
実現可能性と理論株価

300億円 ÷ 1,793円 ≒ 約16,733,687株の取得が可能。上限株数には届かないが、発行済株式の約5.2%を取得・消却可能。
👉 理論株価:1,793円 × 1.052 = 約1,886円
予想
クラレは堅実経営で知られ、減配リスクが少ない企業です。
今回の株主還元策は、投資家の信頼をさらに高めるもの。PERも割安圏で、長期保有に適した銘柄です。
また、業績自体も良く割安水準になっているので前回の高値まで株価が戻る可能性も大いに期待できます。
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=3405
5. 三菱ケミカルグループ(4188)——巨額資金を使った還元のインパクト

自社株買いの概要
- 取得上限株数: 100,000,000株
- 取得総額: 500億円
- 取得期間: 2025年5月14日~2026年5月13日
- 株価(5月時点): 749.6円
- 発行済株式に対する割合: 7.0%
実現可能性と理論株価

500億円 ÷ 749.6円 ≒ 約66,695,743株取得可能。上限株数の66%に相当し、発行済株式の約4.6%を買い戻せる見込み。
👉 理論株価:749.6円 × 1.046 = 約783円
予想
田辺三菱製薬の売却による資金還元策は非常に株主フレンドリーです。
過去の大型買収とは異なり、投資家の支持を得られる可能性が高く、今後の財務体質改善にも期待が持てます。
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=4188
まとめ
銘柄名 | 理論株価上昇率 | 理論株価(目安) |
---|---|---|
京セラ(6971) | 約8%〜9% | 約1,940円 |
MIXI(2121) | 約4%〜5% | 約3,490円 |
メガチップス(6875) | 約10% | 約5,445円 |
クラレ(3405) | 約5%〜6% | 約1,886円 |
三菱ケミカルG(4188) | 約4%〜5% | 約783円 |
自社株買いは株価の下支え要因となるだけでなく、需給改善によって中長期的な株価上昇にもつながる重要イベントです。
発表直後にインするのはもちろん、今後の実施進捗を注視しながら押し目で拾っていく戦略も有効です。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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