2025年5月の決算シーズンで企業の株主還元策として注目を集めているのが「自社株買い」です。
中でも、今回紹介する5社(丸井グループ、日本郵政、電気興業、クレディセゾン、雪印メグミルク)は、決算発表とあわせて“大規模”の自社株買いを発表し、市場で大きな話題となりました。
この記事では、各社の自社株買いの内容、株価へのインパクト、そして今後の理論株価まで詳しく解説します。株式投資家にとっては見逃せない注目材料となっています。
【結論】自社株買いは“需給改善”という現実的な株価上昇材料!
とくに今回紹介した企業のように「上場株数の5%以上」を買い戻すケースは、需給バランスに直接インパクトを与えるため、短中期的な株価上昇が見込まれます。
今後の株式投資において、自社株買いは“最も分かりやすい株価上昇材料”のひとつとして、ぜひチェックしておきたい指標です。
自社株買いとは?なぜ株価が上がるのか?
まず簡単に「自社株買い」についておさらいしておきましょう。
自社株買いとは、企業が市場から自社の株式を買い戻す行為です。
主な目的は以下のとおりです。
- 発行済株式数が減ることで1株あたりの価値(EPS)が向上
- 株主還元としての意味合い
- 株価の下支えや上昇期待
特に、市場価格に対して買い付けの金額や株数が大きい場合、「需給が改善」され、株価は上昇しやすくなります。では、今回の5社の発表内容を順に見ていきましょう。
① 丸井グループ:最大200億円、1000万株の自社株買い

取得期間:2025年6月1日〜11月15日
取得上限:1,000万株(発行済株式の約5.57%)
取得総額上限:200億円
現在の株価:3,010円
自社株買い可能な理論株数と株価インパクト
200億円 ÷ 3,010円 ≒ 約664万株
取得上限(1,000万株)に対して、現実的に市場価格ベースで取得できるのは約664万株となります。
これは発行済株式の約3.7%に相当します。
株主構成が変化し、1株あたりの価値が高まることが期待されます。
理論上の株価予想

発行済み株式総数の約3.7%の自社株買いを実施すると、株価は理論上、約3.7%上昇します。
詳しく解説をすると、自社株買いが実行されると、発行済株式総数が3.7%%減ります。すると純利益の額が変わらなくても、1株当たり利益が約3.7%増えます。
PERでの株価評価が変わらなければ、株価は約3.7%上昇することになります。
EPS上昇率3.7% ⇒ 株価も理論上 3.7%上昇
→ 3,010円 × 1.037 ≒ 3,121円
株価は理論上3,121円まで上昇することがわかります!
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=8252
② 電気興業:最大10億円で65万株を買い戻し

取得期間:2025年5月16日〜2026年3月31日
取得上限:65万株(発行済株式の約7.02%)
取得総額上限:10億円
現在の株価:1,811円
実際に買い戻せる株数
10億円 ÷ 1,811円 ≒ 約55.2万株
最大取得可能な65万株には届かないものの、発行済株式の6%弱を市場から吸収する効果はインパクト大。
中期経営計画に基づく長期的な資本戦略の一環で、企業姿勢の変化も注目されます。
理論上の株価予想

EPS上昇見込み:+5.9%⇒ 株価も理論上 5.9%上昇
1,811円 × 1.059 ≒ 1,918円
株価は理論上1,918円まで上昇することがわかります!
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=6706
③ 日本郵政:衝撃の2,500億円規模!2.5億株買い戻し

取得期間:2025年8月1日〜2026年3月31日
取得上限:2億5,000万株(発行済株式の約8.4%)
取得総額上限:2,500億円
現在の株価:1,353.5円
実際に買い戻せる株数
2,500億円 ÷ 1,353.5円 ≒ 約1億8,468万株
上限には届かないものの、発行済株式の6.2%近くを吸収することが可能で、これは極めてインパクトが大きいです。
ToSTNeT-3を活用した一括買付けが実施される可能性もあり、短期的な株価インパクトは絶大です。
理論上の株価予想

EPS上昇見込み:+6.2%⇒ 株価も理論上 6.2%上昇
1,353.5円 × 1.062 ≒ 1,438円
株価は理論上1,438円まで上昇することがわかります!
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=6178
④ クレディセゾン:2,000億円で1,000万株の買い戻し

取得期間:2025年5月16日〜12月31日
取得上限:1,000万株(発行済株式の約6.7%)
取得総額上限:2,000億円
現在の株価:3,906円
実際に買い戻せる株数
2,000億円 ÷ 3,906円 ≒ 約511.8万株
株価が高いため、実際に買い戻せるのは約3.4%程度ですが、それでもインパクトは大きく、EPS押し上げ効果が見込めます。
理論上の株価予想

EPS上昇見込み:+3.4%⇒ 株価も理論上 3.4%上昇
3,906円 × 1.034 ≒ 4,039円
株価は理論上4,039円まで上昇することがわかります!
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=8253
⑤ 雪印メグミルク:自己株消却も発表、14.8%の自社株買い!

取得期間:2025年5月15日〜2026年3月13日
取得上限:1,000万株(発行済株式の14.8%)
取得総額上限:200億円
現在の株価:2,778円
実際に買い戻せる株数
200億円 ÷ 2,778円 ≒ 約719.8万株
最大取得株数の72%程度を買い戻せる想定で、自己株の約10.6%という大規模な還元策。
さらに消却予定であるため、実質的な希薄化防止と株価対策が両立されているのが特徴です。
理論上の株価予想

EPS上昇見込み:+10.6%⇒ 株価も理論上 +10.6%上昇
2,778円 × 1.106 ≒ 3,073円
株価は理論上3,073円まで上昇することがわかります!
参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=2270
自社株買い5社の比較まとめ
企業名 | 現在株価 | 自社株買いの発行済株比率 | EPS上昇見込み | 理論株価 | 株価上昇余地 |
---|---|---|---|---|---|
丸井G | 3,010円 | 約3.7% | +3.7% | 3,121円 | 約+111円(+3.7%) |
電気興業 | 1,811円 | 約5.9% | +5.9% | 1,918円 | 約+107円(+5.9%) |
日本郵政 | 1,353.5円 | 約6.2% | +6.2% | 1,438円 | 約+84円(+6.2%) |
クレディセゾン | 3,906円 | 約3.4% | +3.4% | 4,039円 | 約+133円(+3.4%) |
雪印メグミルク | 2,778円 | 約10.6% | +10.6% | 3,073円 | 約+295円(+10.6%) |
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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