アドバンテストやディスコなどの株価が上昇している理由は?今後の株価を予想!

半導体関連銘柄 株価上昇理由 個別銘柄分析

2025年9月に入り、株式市場でひときわ強い輝きを放っているのが「半導体」関連銘柄です。

特に、アドバンテスト<6857>、東京エレクトロン<8035>、ディスコ<6146>、レーザーテック<6920>といった半導体製造装置メーカーの株価は、連日のように高値を更新し、多くの投資家から熱い視線が注がれています。

「なぜ、また今これほどまでに半導体銘柄が買われているのか?」

「この勢いはいつまで続くのか?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか??

この記事では、日本の主要な半導体製造装置メーカーの概要から、現在の株価上昇の背景にある複数の要因を深掘りします。

さらに、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の両面から、今後の株価の動向についても徹底考察します!

1. なぜ株価が上昇しているのか?4つの理由

各社が世界トップクラスの技術力を持つことはお分かりいただけたかと思います。

では、なぜ今、これらの銘柄の株価が揃って力強い上昇を続けているのでしょうか。

その背景には、複数の強力な追い風が吹いています。

理由1:米国半導体株高との連動とSOX指数の最高値更新

日本の半導体関連株の動向を語る上で、米国市場の動きは無視できません。

特に、米国の主要な半導体関連銘柄で構成される「フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)」は、世界の半導体株の先行指標とされています。

このSOX指数が、AI半導体のリーダーであるエヌビディア<NVDA>や、製造装置世界トップのアプライド・マテリアルズ<AMAT>、メモリ大手のマイクロン・テクノロジー<MU>といった企業の株価上昇に牽引され、最高値圏での推移を続けています。

世界中の投資マネーが米国の半導体セクターに流入し、市場全体が活況を呈していることが、日本の関連銘柄にも波及し、投資家の強気な姿勢を後押ししているのです。

東京市場の半導体株は、米国の半導体株人気と並走する形で上昇していると言えるでしょう。

モメンタムに乗っている時はどんどん資金が流入して株価が上昇していくので買いタイミングに迷っているならモメンタムに乗っている今がチャンスかと思います。

もし株価が下がった場合はすぐに損切りできる精神も必要です。

理由2:「生成AI」がもたらす半導体需要の爆発的拡大

現在の半導体ブームの最大の牽引役は、間違いなく「生成AI」です。

ChatGPTをはじめとする生成AIの処理には、膨大な計算能力を持つ高性能な半導体(GPUなど)が不可欠であり、その需要はまさに爆発的に拡大しています。

このAI向け半導体市場の急拡大が、半導体製造装置メーカーに大きな恩恵をもたらしています。

  • データセンターへの巨額投資
    • 世界中のIT企業がAIサーバーを増強するために、データセンターへの投資をまだまだ加速させています。
    • これにより、最先端の半導体そのものだけでなく、それらを製造するための装置需要も急増しています。
  • 高性能化への対応
    • AI半導体は非常に高性能で複雑なため、その性能を正確に測定するためのテスト需要が増大します。
    • これは、アドバンテストのようなテスタメーカーにとって直接的な追い風となります。
  • 最先端プロセスの必要性
    • AIの進化は半導体のさらなる微細化を要求します。
    • EUV技術を使った最先端の製造ラインへの投資が活発化し、東京エレクトロンやレーザーテックの装置需要を刺激しています。

理由3:半導体サイクルの底打ちと回復局面への期待

半導体市場には、需要の増減によって好況と不況を繰り返す「シリコンサイクル」と呼ばれる景気循環の波があります。

2023年は、コロナ禍の巣ごもり需要の反動によるPCやスマートフォンの販売不振で、市場は調整局面にありました。

しかし、そのサイクルも底を打ち、2024年後半から2025年にかけては本格的な回復局面に入るとの期待感が市場で高まっています。

在庫調整が一巡し、PCやスマホの需要が持ち直しつつあることに加え、AI、データセンター、自動車向けといった新たな成長ドライバーが市場全体を押し上げる構図です。

株価は常に未来を織り込みます。市場の回復を先取りする形で、投資マネーが半導体製造装置メーカーへと向かっているのです。

理由4:一時的な調整を経て、再び上昇トレンドへ

力強い上昇トレンドの中にも、一時的な調整局面は存在します。

例えば、2024年8月には、米国のトランプ前大統領が半導体関税について言及したことで、地政学リスクが意識され、半導体関連株が一時的に下落する場面がありました。

しかし、このような政治的な発言や金利動向による短期的な下落は、中長期的な成長ストーリーを描く投資家にとっては「押し目買い」の好機と捉えられました。

生成AIという巨大な構造変化を背景に、下値では旺盛な買いが入り、結果として上昇トレンドをさらに強固なものにしています。

2. 日本が世界に誇る半導体製造装置メーカー

まずはじめに、現在株式市場を牽引している主要な4社の会社概要と、その強みについて見ていきましょう。

これらの企業がどのような事業を行っているのかを知ることは、株価の動向を理解する上で非常に重要です。

アドバンテスト<6857>

アドバンテストは、半導体が正常に動作するかをテストする「半導体テスタ」という装置の分野で、世界トップクラスのシェアを誇る企業です。

特に、メモリ半導体用テスタやSoC(System on a Chip)テスタに強みを持ち、半導体の高性能化・複雑化が進むほど、同社の技術の重要性が増していきます。

近年の生成AIブームで需要が急増している高性能なAI半導体の品質を保証するために、アドバンテストの製品は不可欠な存在となっています。

好業績で財務状況も非常に良いので株価に業績が伴っていることが分かります。

参照:https://kabutan.jp/stock/chart?code=6857

東京エレクトロン<8035>

東京エレクトロンは、日本最大にして世界でもトップ3に入る半導体製造装置(SPE: Semiconductor Production Equipment)メーカーです。

半導体を製造する工程は非常に多岐にわたりますが、同社はその中でも成膜、コータ・デベロッパ、エッチング、洗浄など、数多くの工程で高いシェアを持つ製品群を揃えています。

特定の工程に依存しない幅広いポートフォリオが、安定した収益基盤と成長を支える強みとなっています。

2026年業績予想では前期比マイナスとなっていますので上方修正に期待でしょう。

参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=8035

ディスコ<6146>

ディスコは、半導体の製造工程において、「切る」「削る」「磨く」技術に特化した精密加工装置のリーディングカンパニーです。

特に、シリコンウェーハを個々のチップに切り分ける「ダイシングソー」や、ウェーハを薄く削る「グラインダ」では圧倒的な世界シェアを誇ります。

半導体の薄型化や積層化が進む中で、同社の超精密な加工技術への需要はますます高まっています。

2025年3月期では過去最高業績であり、2026年の決算も期待されており、1Qでの進捗率は25%くらいで過去最高業績は更新できそうかなと思います。

参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=6146

レーザーテック<6920>

レーザーテックは、最先端の半導体製造に不可欠な「マスクブランクス検査装置」で世界シェア100%を独占している、まさにオンリーワン企業です。

半導体の微細化をリードするEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術を用いた製造プロセスにおいて、同社の検査装置なしでは不良品のない半導体を作ることができません。

この圧倒的な技術的優位性が、高い収益性と株価の評価に繋がっています。

2026年の業績予想はあまり良くないですが、良くないで織り込まれているので上方修正などの期待がくれば株価は業績問わず上がりそうです。

参照:https://kabutan.jp/stock/finance?code=6920

3. 今後の株価を考察

ここまでの内容を踏まえ、今後の株価がどうなっていくのかを「ファンダメンタル」と「テクニカル」の両面から考察します。

ファンダメンタル分析

企業の業績や経済全体の状況から株価の価値を分析するファンダメンタル分析の観点では、中長期的にポジティブな材料が多く見られます。

  • 継続するAI関連投資
    • 生成AIの進化はまだ始まったばかりです。今後、あらゆる産業でAIの活用が広がるにつれて、データセンターへの投資は継続的に行われると予想され、製造装置メーカーへの追い風は当面続くと考えられます。
  • 次世代半導体へのシフト
    • より高性能なメモリである「HBM(広帯域幅メモリ)」や、新たなトランジスタ構造「GAA(Gate-All-Around)」など、次世代半導体の量産に向けた設備投資が本格化します。
    • これにより、既存の装置の買い替えや、新たな装置の需要が生まれ、東京エレクトロンやディスコ、レーザーテックといった企業のビジネスチャンスはさらに拡大します。
  • 各社の高い受注残高
    • 各メーカーともに高い水準の受注残高を抱えており、これが将来の売上として計上されていきます。
    • これは、短期的な市況の変動に対する業績の安定性を高める要因となります。

一方で、リスク要因にも目を向ける必要があります。

  • 米中対立の激化
    • 米国による中国への半導体輸出規制がさらに強化された場合、装置メーカーの中国向けビジネスに影響が出る可能性があります。
  • 世界経済の動向
    • 世界的な景気後退が鮮明になれば、最終製品であるPC、スマホ、自動車などの需要が落ち込み、半導体市場全体が冷え込むリスクがあります。

テクニカル分析

株価チャートの形状から将来の値動きを予測するテクニカル分析の観点では、SOX指数および日本の主要半導体銘柄は、非常に強い上昇トレンドを形成しています。

ご提示いただいたSOX指数のチャート(2025年10月1日時点)を見ると、以下のような特徴が見られます。

  • 移動平均線
    • 短期・中期・長期のすべての移動平均線が上向きであり、株価がその上を推移する「パーフェクトオーダー」が形成されています。これは典型的な上昇トレンドのサインです。
  • ボリンジャーバンド
    • バンドが拡大(エクスパンション)しながら、株価が+1σと+2σの間を推移しており、トレンドの勢いが非常に強いことを示唆しています。
  • 押し目の形成
    • 時折、移動平均線付近まで株価が下落する「押し目」を形成しながらも、そこからしっかりと反発して高値を更新しています。
    • これは、下値での買い意欲が旺盛である証拠です。

現状のチャートからは、過熱感を警戒しつつも、トレンドは継続していると判断できます。

今後、調整が入る場面では、25日移動平均線などが下値のサポートラインとして意識されるでしょう。

このラインを割り込まずに反発するようであれば、上昇トレンドは継続していると見ることができます。

また、CISさんなど個人投資家間でも半導体関連に再度目を付けており、再ブームがきていることが分かりますね!

参照:https://us.kabutan.jp/indexes/%5ESOX/chart

4. まとめ

本記事では、アドバンテストや東京エレクトロンをはじめとする日本の半導体製造装置メーカーの株価がなぜ上昇しているのか、その理由と今後の見通しについて解説しました。

【株価上昇のポイント】

  1. 米国の半導体株高(SOX指数)との連動
  2. 生成AI市場の拡大による爆発的な需要
  3. シリコンサイクルの底打ちと回復への期待
  4. 押し目買いをこなしながらの上昇トレンド継続

【今後の見通し】

  • ファンダメンタル:AI関連投資を背景に、中長期的な成長ストーリーは継続する可能性が高い。ただし、地政学リスクや世界経済の動向には注意が必要。
  • テクニカル:チャートは強い上昇トレンドを示しており、目先は高値を目指す展開が期待される。

半導体セクターは、私たちの生活や社会を根底から支える重要な産業であり、その技術革新は今後も続いていきます。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/