中島聡の保有株ポートフォリオは?「メタトレンド投資術」について解説!

中島聡 ポートフォリオ 株の知識

Windows 95やInternet Explorer 3.0のチーフアーキテクトを務め、「伝説のプログラマー」として世界的に知られる中島聡氏。

彼は単なる技術者ではなく、鋭い未来予測でテクノロジーのトレンドを読み解く第一人者としても知られています。

彼がどの企業の株を保有し(ポートフォリオ)、どのような投資手法(哲学)を持っているのかは、多くの投資家やビジネスパーソンにとって大きな関心事です。

なぜなら、彼の投資ポートフォリオは、単なる資産運用の結果ではなく、「彼が予測する未来の縮図」そのものだと考えられるからです。

この記事では、中島聡氏の公の場での発言、彼が発行する大人気メルマガ「週刊Life is beautiful」の内容などから、彼の投資ポートフォリオと投資手法を徹底的にリサーチし、考察します。

週刊 Life is beautiful:https://www.mag2.com/m/0001323030

1.中島聡氏とは?

中島聡氏の投資手法を理解するために、まずは彼がどのような人物なのかを再確認しておきましょう。

  • 主な経歴:
    • 日本の大手通信会社NTT研究所を経て、1989年にマイクロソフト(Microsoft)米国本社に移籍。
    • Windows 95Internet Explorer 3.0/4.0Windows 98のチーフアーキテクト(設計責任者)として、PCとインターネットの普及に決定的な役割を果たす(右クリックやドラッグ&ドロップなどの機能の実装に貢献)。
    • 現在は、AI、Web3、メタバースなど最先端技術の動向について、自身のメルマガ「週刊Life is beautiful」で鋭い分析を発信し続けています。

彼のキャリアは、一貫して「次に何が来るか」を予測し、それを自ら形にしてきた歴史です。

この「未来を見通す目」こそが、彼の投資戦略の根幹にあると考えるのが自然でしょう。

参照:https://share.google/images/WrnjU1rD7oFVcRA8S

2. 中島聡氏の投資手法「メタトレンド投資」とは?

中島聡氏の投資哲学の根幹をなすのが「メタトレンド投資」です。

これは、単なる短期的な株価の上下や、個別の企業の業績だけに注目するのではなく、「大きな時代の変化(=メタトレンド)」を見つけ出し、その流れに乗る企業に長期的に投資する手法です。

彼が重視するポイントは、主に以下の2点です。

①メタトレンド(大きな時代の変化)を見つける

メタトレンドとは、社会構造や人々のライフスタイルを根本から変えてしまうような、巨大な技術革新や社会変容の波を指します。

例えば、インターネットの登場、スマートフォンの普及、そして現在のAI(人工知能)の急速な進化などがこれに当たります。

中島氏は、自身のエンジニアとしての深い知見を活かし、どの技術が本物であり、どの技術が世界を席巻する可能性を秘めているかを見極めようとします。

一時的な流行(トレンド)ではなく、10年、20年単位で続く巨大な潮流(メタトレンド)を捉えることが、彼の投資の出発点です。

②「メタトレンド投資」での4つのルール

①技術直感:「ピンとこなければ買わない」

中島氏の投資の第一原則は、「自分が理解できる技術領域に集中すること」です。

彼は自身の専門分野であるソフトウェアやテクノロジーの進化については深い知見を持っていますが、専門外の分野(例:医療、バイオテクノロジーなど)については、無理に追いません。

表面的な情報や流行に惑わされず、技術の本質を理解し、その将来性について「ピンとくる」直感的な確信が持てるかどうか。

このエンジニアとしての「技術直感」が、投資対象を絞り込む最初のフィルターとなります。

②CEOの熱量:「夢を語らないCEO」は対象外

技術がどれほど優れていても、それを実現するのは「人」です。

中島氏は、投資先企業のCEO(最高経営責任者)が、その事業に対してどれほどの「熱量」を持っているかを非常に重視します。

社長が自らの言葉で未来のビジョンを語り、その言葉に「共感」できるか。

困難に直面しても揺るがない情熱を持っているか。

短期的な利益や株価対策ばかりを語り、「夢を語らないCEO」の企業は、長期保有の対象外としています。

③推し活連動:消費行動とリンクさせる

優れた投資先は、往々にして自身の日常生活の中にヒントがあります。

中島氏は、自身や家族が日常的に愛用し、そのサービスや製品に熱中している(=推している)企業の強さを信じています。

例えば、過去に大きな利益を上げたNetflixへの投資は、彼自身が毎晩のように視聴するヘビーユーザーであったことが背景にあります。

自らが消費者としてその価値を強く実感できるかどうかは、その企業が持つ「本物の強さ」を測るバロメーターとなるのです。

④メタトレンド起点:10年スパンの「波」を俯瞰する

個別の技術やサービスだけでなく、それらが集まって形成する「10年スパンで世界を変える大きな波(メタトレンド)」を俯瞰することが、彼の投資戦略の核心です。

彼は常に、ロボット、ロボタクシー、VR/AR、宇宙といった領域が、今後10年で社会をどう変革するかを思考しています。

この大きな潮流を見定め、その波の「起点」や「中心」にいると判断した企業に、長期的な視点で投資を実行します。

3. 中島聡氏の保有株ポートフォリオ

中島氏の投資スタイルは、彼が「本物」と信じたメタトレンドとCEOに、集中的に投資する傾向があります。

過去には、彼自身が深く関わったMicrosoftはもちろんのこと、AppleNvidiaNetflixといった、まさに時代を象徴する企業への投資で大きな利益を上げてきました。

Nvidiaでは最近のAIブームよりもだいぶ前に買っており、先見の明があると言えるでしょう!

ここでは、現在彼が注目し、ポートフォリオの中核をなしているとされる銘柄について詳しく見ていきましょう。

主な保有銘柄(過去・現在)とその理由

中島氏が注目する各銘柄について、その保有理由や期待を深掘りします。

Tesla (テスラ)

中島氏がテスラ株をポートフォリオの大部分を占めるほどに保有している理由は、テスラを「EVメーカー」としてではなく、「AIとロボティクスの企業」として捉えているためです。

彼が特に注目しているのは、開発中の人型ロボット「Optimus」と、それを動かすためのAIスーパーコンピュータ「Dojo」です。

中島氏は、イーロン・マスクCEOが描く「ロボットが人間の労働を代替する未来」という壮大なビジョンと、それを実現しようとする圧倒的な熱量に共感しています。

EVはあくまでその過程であり、テスラの本質は「Optimus」と「Dojo」を核とした未来のロボティクス産業を支配するポテンシャルにある、と見ているのです。

NVIDIA (エヌビディア)

言わずと知れた、現在の生成AIブームの中心企業です。

AIの学習や推論に不可欠なGPU(画像処理半導体)市場をほぼ独占しており、中島氏もこのAIというメタトレンドの恩恵を最も受ける企業として投資を続けています。

NVIDIAの技術的優位性と、ジェンスン・フアンCEOの先見性を高く評価していることは間違いありません。

AMD (アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)

NVIDIAへの分散投資、そして「第二の矢」として保有しているのがAMDです。

AMDは、CPU市場でインテルと激しい競争を繰り広げてきた半導体メーカーですが、近年はAI向けの高性能GPU開発にも注力しています。

NVIDIAのGPUがあまりにも高価で供給不足が続く中、多くの企業が代替手段を求めています。

AMDがNVIDIAに次ぐ強力な選択肢として浮上する可能性は高く、AI市場全体の拡大と共に成長すると期待されます。

Groq (グロック)

NVIDIA、AMDとは異なるアプローチでAIチップ市場に参入するスタートアップ企業、Groqにも中島氏は投資しています。

Groqは「LPU(Language Processing Unit)」と呼ばれる、生成AIの「推論」処理に特化した独自のチップを開発しています。

NVIDIAのGPUが「学習」に強い一方で、GroqのGPUは「推論」を驚異的な速度で実行できるとされています。

AIが社会に実装されるフェーズでは「推論」の効率が鍵となるため、Groqが特定の分野でNVIDIAを凌駕する可能性を見据え、先行投資していると考えられます。

Apple (アップル)

過去に保有し、大きな利益を上げた銘柄です。

スティーブ・ジョブズ氏のビジョンと熱量に共感し、iPhoneがもたらすスマートフォンのメタトレンドを初期から捉えていました。

現在はポートフォリオの大きな割合を占めてはいないかもしれませんが、AppleがAI分野や、あるいは次のメタトレンド(例えばARグラスなど)でどのような革新を起こすかについて、引き続き高い期待を持って注目していると推測されます。

Netflix (ネットフリックス)

中島氏自身が長年のユーザーであったことから、そのサービスの強力な魅力と、動画ストリーミングという新たなメタトレンドを牽引する力を見抜き、保有していました。

リード・ヘイスティングス氏(創業者)の独自の企業文化と経営哲学も、彼の共感を呼んだポイントでしょう。

meta (メタ・プラットフォームズ)

Facebookから社名を変更し、メタバース(仮想空間)に巨額の投資を続けるmetaにも注目しています。

特に、中島氏が次の大きな波の一つとして期待している可能性のある「ARグラス(拡張現実メガネ)」の分野で、metaが先行投資を行っている点を評価していると考えられます。

マーク・ザッカーバーグCEOが、AIとメタバースという2つの大きな未来に賭ける熱量と、それを実現するための潤沢なリソースを持つmetaは、中島氏の「メタトレンド投資」の対象として非常に興味深い存在です。

4. 中島聡が考える今後のメタトレンド

中島氏の投資ポートフォリオは、彼が現在見据えている「未来のメタトレンド」と密接に連動しています。

彼が特に注目している、今後10年スパンで世界を大きく変える可能性のある4つの波を紹介します。

メタトレンド① 人型ロボットとロボタクシー

2025年~2035年を席巻する最大のメタトレンドとして、中島氏は「ロボット × AI」を挙げています。

これは彼のポートフォリオでテスラが大きな比率を占める理由とも直結しています。

  • 人型ロボット
    • 現在、量産化の段階に最も近いのはTesla(Optimus)Unitree(中国企業)の2社と分析。
    • 今後は、ロボットの精密な動きを司るアクチュエータや減速機といった「基幹部品」を制するメーカーが台頭すると予測しており、日本の精密モーター企業にも大きなチャンスがあるとの見方を示しています。
  • ロボタクシー
    • アプローチが異なる2社が両雄として競い合っている状況です。
    • Waymo(Google系)はゼロから完全自動運転を開発するアプローチ、対するTeslaは既存の運転支援(FSD)から段階的に発展させるアプローチを取っています。
    • 中島氏は、どちらが勝つかを見極めるよりも、この二極化に備えた分散投資が鍵になると考えています。

メタトレンド② VR/ARグラスの再勃興

「ポストスマホ」の本命として、中島氏が強く期待するのがこの領域です。

特に〈軽量ARメガネ+AI音声アシスト〉の組み合わせが、次のコンピューティングプラットフォームになると予測しています。

Ray-Ban MetaスマートグラスやApple Vision Proの登場は、その未来の入り口であると捉えられています。

中でも中島氏はMeta社に注目し、自身も買い増しを公言しています。

その理由は、Metaが持つFacebookやInstagramなどの巨大SNSデータが、AIアシスタントを強力に進化させる“最良の餌”となり、他社に対する圧倒的な優位性となると分析しているためです。


メタトレンド③ 宇宙・ドローン・防衛テック

宇宙開発は、イーロン・マスク氏が率いるSpaceX(非上場)を「大本命」として注視しており、もし上場すれば即座に投資対象となると考えています。

また、地政学リスクの高まりを受け、ドローン製造企業(米AeroVironmentやイスラエルRafaelなど)も、将来の重要な投資先として「上場前メモ」で監視リストに入れているとされます。

一方で、中国株については、個々の企業が持つ技術的な魅力は認めつつも、米中対立や共産党による突然の規制といった「政治リスク」を考慮し、投資比率を意図的に抑制する姿勢を取っています。

メタトレンド④ データ資本主義とAIネイティブSaaS

現在の生成AIの進化は、「言葉を理解するAI」を前提とした新しいビジネスモデルを生み出すと予測しています。

特に、既存のSaaS(Salesforceなど)を根本から破壊する可能性を秘めた「AIネイティブSaaS」の登場に注目。

これらはAIを後付けするのではなく、創業時からAIを核として設計されたCRMやERPであり、創業3年以内のスタートアップが突如ユニコーン化するような、急速な世代交代が起こると見ています。

この潮流を捉えるため、中島氏はThe Informationのような深掘り系のテクノロジーメディアを活用し、有望な上場前企業の情報を日々ストックしています。

5. まとめ

本記事では、Windows 95のチーフアーキテクトとして知られる中島聡氏の投資哲学「メタトレンド投資」と、その具体的なポートフォリオ、そして彼が見据える未来のトレンドについて解説しました。

中島氏の投資術の核心は、以下の4つの視点に集約されます。

  1. 「技術直感」:自分が深く理解できる技術(ピンとくる技術)に集中する。
  2. 「CEOの熱量」:未来への夢と情熱を語る経営者に共感し、長期で応援する。
  3. 「推し活連動」:自身が消費者として愛用する「推せる」サービスを信じる。
  4. 「メタトレンド起点」:ロボットやAI、ARなど、10年スパンの「大きな波」を捉える。

彼の現在のポートフォリオは、テスラを「AIロボティクス企業」として中核に据えつつ、AI、AR、宇宙といった巨大なメタトレンドに対し、NVIDIA、AMD、Groq、Metaなどへ戦略的に投資を行っている点が特徴です。

私たち個人投資家が中島氏の投資術から学べることは、目先の株価変動に一喜憂するのではなく、どの技術が未来を創るのか、どのリーダーがその未来を実現する熱量を持っているのかを、自分なりに深く思考し、見極めることの重要性ではないでしょうか。

本ブログでは銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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