商船三井(9104)の分析まとめ
・海運業大手
・製品輸送事業が主力事業
・売上は回復・利益は大幅拡大
→利益拡大はコロナやロシア関係での運賃上昇が要因のため、現在は運賃が落ち着いてきており利益がそこまで伸び悩む可能性あり!
・高い配当利回りが魅力
→高配当銘柄としての投資はあり!
商船三井(9104)銘柄情報
商船三井(9104)は、日本の大手海運企業で、グローバルな物流サービスを提供しています。
2024年度(2025年3月期)第2四半期決算に基づき、業績や財務状況、株価の動向、配当利回りの魅力について分析し、今後の成長見通しについて考察を加えます。
本記事では、商船三井を取り巻く市場環境や業績の詳細、投資家にとっての魅力について解説します。
それでは商船三井(9104)の情報を見ていきましょう!
商船三井(9104)の事業内容
海運業大手。世界最大級の保有船。
商船三井は、海運業を中心に多岐にわたる事業を展開しており、主力となるコンテナ船やバルクキャリア、タンカーなどの運航を行っています。
以下が各事業の内容となります。
ドライバルク事業
商船三井は世界最大規模のドライバルク船隊を保有し、鉄鉱石や石炭、穀物などさまざまな資源や製品を世界中に輸送しています。専用船と汎用船を使い分け、安定した供給を実現。また、次世代燃料船の導入にも取り組み、環境負荷を低減しています。
エネルギー事業
原油、LNGなどのエネルギー輸送で豊富な実績を誇り、安定供給に貢献。FSRUやFPSOなどのインフラやオフショア事業にも力を入れ、エネルギー関連のインフラ提供や技術開発を進めています。
製品輸送事業
グローバルなネットワークで自動車、工業製品、一般消費財の輸送を提供。自動車船輸送の分野では、Ocean Network Express (ONE)を通じて、幅広いサービスを提供し、物流ニーズに対応しています。
ウェルビーイングライフ事業
「人々のウェルビーイング」をテーマに、フェリーやクルーズ、不動産など非海運事業を展開。ダイビル(株)によるオフィスビル運営や、国内輸送のフェリー事業、クルーズ船「にっぽん丸」による高品質の旅を提供しています。
関連・その他事業
海運業での知見を活かし、曳船、旅行、金融、保険など多岐にわたるサービスを展開。CVCや人材事業などの新分野にも積極的に取り組み、事業の多角化を図っています。
セクター別売上高
参照:https://ir.mol.co.jp/ja/ir/finance/segment.html
製品輸送事業が主力事業
様々な輸送事業を行っている三井商船ですが、製品輸送事業が売上高の4割・経常利益9割を占めている状況となっています。
製品輸送事業は高価な物を輸送するための運賃が高く、利益率が良いのでしょうね。
逆にドライバルク船事業やエネルギー輸送事業はコストの方が高く、売上高に対して利益が少ない状況になっております。
地域別売上高
参照:https://irbank.net/E04236/region
日本の売上高が約7割!
海外の売上高が大半を占めていると思っていたのですが、意外にも日本の売上高が約7割を占めています。理由としては、日本企業への輸入や日本企業からの輸出がメインだからです。
また、アジアの売上高も高く、日本から近い国が商売メインなのでしょう。アメリカやヨーロッパは日本から遠く船での輸入出が難しいため売上高が低いのだと考えられます。
商船三井(9104)の業績
売上収益の推移
参照:https://irbank.net/E04236/pl
売上は回復・利益は大幅拡大
コロナショックを受けて、一時売上収益が減っていたのですが、コロナ後は徐々に回復して売上高はコロナ前の水準に戻ってきています。
特に2022年以降、経常利益がすごく伸びている理由としては、コンテナ船事業の収益が急拡大したことを受け伸ばしています。
コンテナ船事業は、新型コロナウイルス下で荷動きが急増し、運賃高騰が長期化したことで利益が急拡大しました。
2024年度第2四半期の決算でも、商船三井の収益は昨年同期比で増加し、安定的な収益基盤を確保しています。
特に、主力の海運部門は、世界的な物流需要の回復やコンテナ運賃の安定化を背景に好調を維持しています。また、エネルギー関連船舶やLNG船の事業も高い需要を誇り、利益拡大に貢献しています。
4〜9月期の売上高は前年同期比14%増の9006億2800万円、営業利益は同80.9%増の891億8500万円、経常利益は同61.2%増の2490億2800万円だった。通期予想に対する第二四半期の進捗率は売上高で50.3%と過去6年の平均(49.7%)を上回る。
商船三井は2025年3月期の業績見通しを修正し、純利益予想などを上方修正しました!
しかしながら、コロナの時のような運賃上昇は落ち着いてきて安定してきました。今後は以前のような運賃上昇は期待できないので今の運賃水準で今後の業績などを考えた方が良さそうです。
商船三井(9104)の財務状況
財務状況は安定の良さ!
商船三井の財務状況は、自己資本比率の向上や借入金の適切な管理により、安定したものとなっています。特に、第2四半期の決算資料によると、借入金の削減や資産の効率的な運用により、負債比率が改善傾向にあります。
自己資本比率も60%近くまで上がっており、安定の資本運営をしてきていることが分かります。
このように、商船三井の財務基盤は強固であり、長期的な視点での成長を支える基盤が整っていると言えるでしょう。
ROE・ROAは超安定
ROEは8%以上が目安、ROAは5%以上が一般的な目安となりますが、直近のデータからは魅力的な数値をたたき出しています。
高ROE・ROAの理由には、ロシア・ウクライナ情勢などによる運賃市況の上昇が挙げられます。
そのため、今後は現在と同じようなEPSやROEの伸びが期待できないことが分かると思います。
商船三井(9104)の株価
株価:5,179円
PER:5.4倍
PBR:0.71倍
配当金:300円(年)
配当利回り:5.79%
配当性向:30.3%
時価総額:1兆8,777億円
※2024/11/1のデータ
上昇トレンドだが天井か?
上記は商船三井(9104)の月足のチャートとなります。
現在、2021年から上昇トレンドが続いており上場来最高値に到達するかが期待されています。
2007年の上場来最高値は2007年の6,800円となり、2007年に上場来高値をつけた理由としては、シンプルに当時の最高益を更新したため上昇しました。
しかし、現在の最高益は2007年の数字を優に越しており、上場来高値を更新するかと思いきや2024年で横ばいになっております。理由としては、運賃上昇の恩恵がなくなってきたからです。
そのため、運賃上昇くらいのサプライズがないと今の上昇トレンドを継続するのは難しいのではないかと考えます。
商船三井(9104)の配当金の推移
高い配当利回りが魅力
商船三井は、安定的な配当政策を維持しており、高い配当利回りが魅力です。
第2四半期決算の発表でも、業績好調に伴い、今期の年間配当を従来計画の280円→300円(前期は220円)に増額修正し、これは長期投資家にとっても大きな魅力です。
また、配当性向も適切に管理されており、今後の利益成長に伴う配当増額も期待されています。
まとめ
商船三井株は高配当銘柄としてはあり!
直近の業績は良く、配当利回りもかなり良いですが、運賃上昇での一過性なものだということを忘れてはいけません。このまま株価は横ばいが続くかも?
そのため、今後の売上収益は安定するものの大幅に上げてくる可能性は低いので、長期投資の方は警戒をしていた方が良いかもしれません。
しかし、商船三井は高い配当利回りを誇っているので高配当銘柄として長期保有するには持ってい来いの銘柄です。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/
以上