「iDeCo(イデコ)は節税最強の制度」 そう聞いて興味を持ったものの、ネットで検索すると「やめとけ」「おすすめしない」「罠がある」といったネガティブなワードが出てきて不安になっていませんか?
結論から言うと、iDeCoは「大半の人はハマる最強戦術だが、属性によってはただの足かせになる」という制度です。
この記事では、きれいごとのメリットだけでなく、「FIREを目指すなら邪魔になる可能性」「専業主婦(夫)が損をする仕組み」「出口(受け取り時)の課税リスク」など、ニッチかつ重要なデメリットも包み隠さず解説します。
新NISAとどちらを優先すべきか迷っている方も、この記事を読めば自分の最適解が見つかるはずです。
1. そもそもiDeCo(イデコ)とは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)を一言で言うなら、「国が用意した、超・税金優遇付きの自分年金作り制度」です。
- 自分で 金融機関と商品を選んで積み立てる
- 60歳まで 原則引き出せない(年金だから)
- 掛金が全額 所得控除になり、住民税と所得税が安くなる
「老後資金なんて銀行預金でいいじゃん」と思うかもしれませんが、インフレ(物価上昇)が進む現代において、利息のつかない預金は「資産の実質的な目減り」を意味します。
iDeCoはインフレ対策+強力な節税策として機能します。
具体的には「iDeCo公式サイト」で解説されているのでそちらを見た方が分かります!
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/
2. なぜ「iDeCoはやめとけ」と言われるのか?

ここが一番気になる部分かと思います。iDeCoを安易に始めて後悔しないために、以下の5つの「やめとけ」ポイントを理解しておきましょう。
① 資金の「60歳ロック」が厳しすぎる
これが最大のデメリットです。iDeCoは原則60歳になるまで1円も引き出せません。
「結婚資金」「住宅購入の頭金」「子供の教育費」「親の介護費」…
人生には急にお金が必要になるタイミングがあります。その時にiDeCoに全財産を入れていると詰みます。
→ 結論:絶対に使わない「完全余剰資金」以外入れてはいけません。
② FIRE(早期リタイア)を目指す人には邪魔になる
最近流行りのFIRE。
「40代・50代で仕事を辞めて資産収入で暮らす」という計画において、iDeCoは相性が悪いです。
リタイア直後から資金を取り崩したいのに、iDeCoの資産は60歳までお預けを食らうからです。
FIRE民にとっては、いつでも取り崩せる新NISAや特定口座の方が使い勝手が良いのです。
③ 専業主婦(夫)・無職は「節税メリット」がない
iDeCo最大のメリットは「所得税・住民税が安くなること」です。
しかし、そもそも年収が103万円以下で税金を払っていない人は、安くする税金がありません。
それなのに、次項の「手数料」だけはしっかり取られます。
つまり、専業主婦がiDeCoをやると「ただの手数料払い損」になる可能性が高いのです。
④ 地味に痛い「手数料」の存在
iDeCoは「口座を持っているだけ」で手数料がかかります。
- 加入時:2,829円
- 毎月の収納手数料等:最低171円(年間2,052円)
- 各証券会社によっては無料などあり
- 給付時(受け取る時):1回440円
- これらはネット証券などの「運営管理手数料無料」のところを選んでも、必ずかかるコストです。
- 積立額が月5,000円など少額の場合、手数料負けするリスクがあります。
⑤ 加入期間が短いと60歳で受け取れない
50代から慌ててiDeCoを始めた場合、加入期間が10年に満たないと受給開始年齢が後ろ倒しになります(最大65歳まで)。
「60歳ですぐにお金が欲しい」という計画が狂う可能性があります。
3. それでもiDeCoをやるべき「最強のメリット」
脅してしまいましたが、上記のデメリットを飲み込める人(特に会社員・公務員)にとって、iDeCoは新NISAを凌駕する錬金術になります。
圧倒的な「所得控除」の威力

参照:https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/
iDeCoの掛金は「全額」が所得控除になります。
つまり、年末調整でお金が戻ってきたり、翌年の住民税が減ったりします。
【月2.3万円(年27.6万円)積み立てた場合の節税額目安】
| あなたの年収 | 所得税・住民税率(概算) | 年間の節税額 | 20年間の節税総額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 15% | 約41,400円 | 約82万円 |
| 500万円 | 20% | 約55,200円 | 約110万円 |
| 700万円 | 30% | 約82,800円 | 約165万円 |
| 1000万円 | 43% | 約118,800円 | 約237万円 |
見てください。運用益がゼロでも、積み立てるだけでこれだけプラスになるのです。
投資のリターンに加え、この「確実なリターン」が得られるのがiDeCoの唯一無二の強みです。
参照:https://www.smbc.co.jp/kojin/money-viva/ideco/0003/
4. 新NISA、企業型DC、iDeCo…どっちを優先?
「どれを優先すべきか」という問いに対する答えは、個人の属性と資金力によって明確に区分されます。
| 属性 | 第1優先 | 第2優先 | 理由 |
| 高年収会社員・公務員 | iDeCo | 新NISA | 所得税率が高いため、iDeCoの所得控除効果(30%以上戻ることも)がNISAのメリットを凌駕する。 |
| 平均的会社員 | iDeCo (上限まで) | 新NISA | まずiDeCoで「確実な節税リターン」を得て、余剰資金を流動性の高いNISAへ。 |
| 専業主婦・低所得者 | 新NISA | iDeCo | 所得控除がないため、流動性が高く手数料無料のNISAが圧倒的に有利。 |
| 自営業・フリーランス | iDeCo (最優先) | 新NISA | 国民年金だけでは老後が絶望的。月6.8万円の控除枠は税金対策としても生命線。 |
| FIRE志向者 | 新NISA | iDeCo | 早期リタイア資金を作るには、いつでも引き出せるNISAが必須。 |
「お金に限りがある。どれからやるべき?」という疑問への回答チャートです。
ケースA:貯金が生活費の3ヶ月分未満の人
まずは、全力で「貯金」
投資をしている場合ではありません。まずは生活防衛資金を貯めましょう。
ケースB:普通の会社員(これから資産形成)
「iDeCo」を優先検討
「60歳まで絶対使わないお金」があるなら、新NISAよりもiDeCoの所得控除メリットを取りに行くのが正解です。
貯金と並行して無理しない程度でiDeCoをするのがいいでしょう。
ケースC:貯金はある程度あり、老後資金を作りたい
余裕が出てきたら「新NISA」
iDeCoで安定して掛け金を納められるようになってきたら、新NISA(つみたて投資枠)で月3〜5万円程度から投資できるように検討しましょう。
(重要)ケースD:会社に「企業型DC(確定拠出年金)」がある人
「マッチング拠出」があるか確認
会社が掛金を出す企業型DCに、自分の給料から上乗せする「マッチング拠出」制度があるなら、iDeCoよりそちらを優先しましょう。
iDeCoのような口座管理手数料がかからないケースが多く、給与天引きで楽だからです。
マッチング拠出がない、または枠が少ない場合はiDeCoとの併用を検討します(2022年10月から併用しやすくなりました)。
5. 何を買えばいい?おすすめポートフォリオ
iDeCoの商品ラインナップは金融機関によりますが、基本戦略はシンプルです。
iDeCoでは「元本確保型(定期預金)」と「元本変動型(投資信託)」が選べるが、インフレ対策と非課税メリットの最大化を目的とするならば、定期預金を選ぶべきではないです。
20代〜40代:攻めの「全世界株式」
おすすめ:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)oreMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
世界の経済成長に丸乗りします。60歳まで引き出せないので、短期的な暴落を気にする必要がありません。
50代・保守派:守りの「バランス型」
おすすめ:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)など
株式だけでなく債券やリート(不動産)を含んだ商品。出口(60歳)が近いので、暴落時のダメージを抑えたい人向けです。
やってはいけない:「定期預金・保険」商品
iDeCoの中に「元本確保型(定期預金など)」がありますが、これを選ぶと手数料分だけ確実に損をします(金利0.001% < 手数料)。
iDeCoをやるなら投資信託を選ばないと意味がありません。
6. どこで始める?金融機関の選び方
iDeCoは金融機関によって「毎月の手数料」や「選べる商品」が違います。
銀行の窓口で勧められるままに入ると、手数料が高く商品が微妙な「カモ」にされる可能性があります。
正解はこの4社のどれかです。
| 特徴 | SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | マネックス証券 |
| 運営管理手数料 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 商品数 | 最多水準(セレクトプラン) | 豊富(36本) | 厳選(39本) | 厳選(27本) |
| 主要低コスト投信 | eMAXIS Slimシリーズ完備 | 楽天・プラスシリーズ、楽天VTI | eMAXIS Slimシリーズ完備 | eMAXIS Slim、NASDAQ100 |
| UI/UX | 高機能だがやや複雑 | 直感的で初心者向き | シンプル | 商品分析に強み |
| 独自強み | 加入者数No.1の実績 | 楽天ポイント・銀行連携 | 投信保有還元、サポート | 米国株・NASDAQへのこだわり |
- SBI証券: 「セレクトプラン」にて業界最低水準のコストを目指すeMAXIS Slimシリーズを網羅しており、王道の選択。
- 楽天証券: 「楽天・プラス・オールカントリー」など、eMAXIS Slimに対抗する超低コストファンドを投入。楽天経済圏ユーザーには資産の一元管理(iDeCoとNISAの統合表示)のメリットが大きい。
- 松井証券・マネックス証券: 特定の指数(NASDAQ100等)やサポート体制を重視する場合に有力。
結論: これから始めるなら、SBI証券か楽天証券の2強から選ぶのが、商品ラインナップと将来的なサービス継続性の観点から最適解である。
7. ニッチな疑問と将来のリスク(改悪など)
Q. 将来、iDeCoのルールが改悪される可能性は?
A. ありえます。特に「出口課税」に注意。
現在、iDeCoを受け取る際は「退職所得控除」という大きな非課税枠が使えます。
しかし、政府はこの控除額を縮小する議論をしています。もしこれが改悪されると、受け取り時に思ったより税金がかかる可能性があります。
「受取時期をずらす(公的年金受給前など)」などの工夫が必要になるかもしれません。
Q. 特別法人税って何?
A. 今は凍結されている「隠れ税金」です。
iDeCoの資産額に対して年1.173%の税金がかかるという恐ろしい税金ですが、現在は停止(凍結)されています。
これが復活するとiDeCoのメリットが吹き飛びますが、現実的に復活させると制度が崩壊するため、撤廃されるか凍結が続くと見られています。
Q. 住所変更や転職時の手続きは?
A. めちゃくちゃ面倒です。
iDeCoの隠れたデメリットは「手続きのアナログさ」です。
転職や引っ越しのたびに書類の郵送が必要になることが多く、これを忘れると掛金の引き落としが止まってしまいます。
まとめ:iDeCoをやるべき人、やらない方がいい人
【iDeCoをやるべき人】
- 安定した収入がある会社員・公務員
- 生活防衛資金は確保済み
- 「60歳まで絶対に使わない老後資金」として割り切れる
- 貯金だけではインフレが怖いと感じている
【iDeCoをやらない方がいい人】
- 貯金が少なく、カツカツの生活をしている
- 近いうちに結婚、住宅購入、転職などを控えている
- 専業主婦(夫)、扶養内パート(所得税を払っていない)
- 40代〜50代でのFIREを本気で目指している
iDeCoは強力な「盾(節税)」ですが、重たい「鎖(資金拘束)」でもあります。
自分のライフプランに合わせて、まずは「新NISA」から、余裕があれば「iDeCo」というステップで検討してみてください。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
https://blog-hero.com/

