株式市場は、世界的なイベントや情勢の変化に敏感に反応します。その中でも、戦争や紛争は株価に大きな影響を与える要因の一つです。
金融市場には、「遠くの戦争は買い」という格言や、ネイサン・ロスチャイルドが語った「銃声が鳴ったら買え」の相場格言は、今でも有名な言葉になっている。
本記事では、戦争が起こると株価がどう変動するか、格言通り「買い」なのかを過去の事例や投資家の行動パターンを交えて詳しく解説します。
結論
・戦争による株価の影響は多くの場合、一時的なものに過ぎないことが多い
・短期的な戦争の場合は株価は回復しやすいが、長期的になると回復しない
・アメリカや日本など主要な国での戦争だと大幅落下する
1. 戦争と株価の関係
戦争が勃発すると、経済全体に不確実性が生じ、投資家の心理に大きな影響を与えます。通常、戦争の初期段階では市場全体に対する不安感が高まり、リスクを避けるために株価が急落する傾向があります。これは、戦争が経済活動を減速させる恐れがあるためです。
例えば、第一次湾岸戦争(1990年)の際には、イラクのクウェート侵攻後、世界中の株式市場が急落しました。同様に、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)の初期段階でも、ヨーロッパを中心に株価が大幅に下落しました。戦争により、エネルギー価格の上昇や物流の混乱が発生し、経済全体にマイナスの影響を及ぼすことが多いためです。
2. 戦争による業種ごとの影響
戦争が起こると、株価の影響は業種によって異なります。防衛関連やエネルギー関連企業は、戦争が利益を押し上げる可能性があるため、株価が上昇することがあります。
- 防衛関連企業: 武器や軍事装備を供給する企業は、戦争の際に需要が増加するため株価が上昇しやすいです。例えば、アメリカの防衛産業の大手であるロッキード・マーティンやレイセオンの株価は、紛争が激化する際に上昇する傾向があります。
- エネルギー関連企業: 戦争により石油や天然ガスの供給が制限されると、エネルギー価格が上昇し、それに伴ってエネルギー企業の株価も上昇することがあります。特に、中東での紛争がエネルギー市場に影響を与えることが多く、石油メジャー(エクソンモービルやシェブロンなど)の株価は戦争時に上昇する傾向があります。
一方、消費者向けのサービス業や小売業は、戦争によって消費者の購買意欲が減退するため、株価が下落しやすい業種です。また、観光や航空業界も戦争時に大きな打撃を受けやすく、株価が急落するケースが多いです。
3. 戦争の影響は長期的か短期的か
戦争による株価への影響が一時的か、それとも長期にわたるかは、戦争の規模や継続期間によって異なります。短期的には、株式市場は戦争のニュースに大きく反応しますが、戦争が限定的なものであれば、市場は比較的早く回復することもあります。
例えば、イラク戦争(2003年)の際、アメリカ市場は戦争初期に下落したものの、戦争が短期間で終結したため、株価は数ヶ月後には回復しました。しかし、長期にわたる紛争や戦争が続く場合、株式市場への悪影響が長引く可能性があります。第二次世界大戦中は、多くの国で経済が戦時体制に移行し、長期間にわたる株価低迷が見られました。
4. 投資家の心理とリスク管理
戦争時の株式市場で重要なのは、投資家の心理です。多くの投資家はリスク回避を優先し、戦争のリスクが高まると株式から現金や債券、金などの安全資産へと資金を移す傾向があります。これにより、株価が急落する場面が多く見られます。
しかし、長期投資家にとっては、戦争が引き起こす市場の混乱を一時的なものと捉え、戦争後の回復を見越して買い増しの機会とするケースもあります。過去の事例からも、株価が急落した後に大きく反発することが少なくありません。
例えば、リーマンショックやコロナショックといった大規模な経済危機の後、長期的には株価が回復し、さらには上昇する場面も見られました。戦争のような不測の事態に備えて、ポートフォリオを分散させることや、現金を確保しておくことがリスク管理の一環として重要です。
5. 歴史的な株価の変動事例
参照:https://images.app.goo.gl/FpUQVXwba88nASty7
戦争が株価に与える影響について、いくつかの歴史的事例を挙げてみましょう。
- 第一次世界大戦(1914年): 世界的な大戦が勃発したことで、各国の株式市場は一時的に閉鎖され、株価は大きく下落しました。しかし、戦後に経済が回復すると、株式市場も再び活気を取り戻しました。
- ベトナム戦争(1965-1975年): アメリカ市場は戦争初期に不安定な動きを見せましたが、戦争が長引く中で、経済成長が続いたため株価も持ち直しました。
- 9.11テロ攻撃(2001年): アメリカへのテロ攻撃により、株式市場は一時的に大幅な下落を見せましたが、数ヶ月後には回復し、株価は元の水準に戻りました。
これらの事例からも分かるように、戦争による株価の影響は多くの場合、一時的なものに過ぎないことが多いです。
6. まとめ: 戦争時の投資戦略
戦争が起こると株式市場は短期的に混乱し、株価が下落することが多いです。しかし、戦争が短期的なものであれば市場は回復し、長期的には上昇することもあります。特定の業種や企業(防衛関連やエネルギー関連)は戦争の影響で利益を得る可能性が高く、それらの企業に投資することは一つの戦略となります。
また、投資家は戦争リスクを考慮してポートフォリオの分散を図り、安全資産にも資金を振り分けることが重要です。歴史的なデータを参考にし、冷静な判断で投資を続けることが、戦争時の株式投資で成功するカギとなるでしょう。
また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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以上