東証の取引時間延長のメリット・デメリットは?決算発表のタイミングにも影響?

取引時間延長 株の知識

2024年11月5日から、東京証券取引所(東証)の現物株取引の終了時間が午後3時から午後3時30分に延長されます。日本株式市場にとって重要なこの変更は、投資家にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

取引時間延長の目的や影響について詳しく解説し、投資家が知っておくべきポイントやメリット、デメリットを見ていきましょう。


1. なぜ取引時間を延長するのか?

参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2556T0V21C24A0000000/?n_cid=SNSTW005

東京証券取引所(東証)は、2024年11月5日より現物株取引の終了時間を午後3時から午後3時30分に延長すると発表しました。

この変更は、投資家の利便性を高めることや、日本市場の国際競争力やレジリエンス強化を目的としています。この取引時間延長によって、投資家にはさらなる売買機会が提供され、特に外国人投資家の参加も増えることが期待されます。

各国の株式市場と比較すると、東証の立会時間はやや短い傾向があります。
例えば、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック証券取引所では、現地時間で午前9時30分から午後4時まで取引が行われています。また、ロンドン証券取引所では午前8時から午後4時30分まで取引可能です。

東証の延長は、取引機会を増やすと同時に、海外投資家が日本市場へより積極的に関与するための一助になると期待されています。
なお、世界の株式市場全体としても取引時間を延長する流れが進んでおり、NYSEでは取引のさらなる拡大を検討し、24時間取引を視野に入れた議論が行われています。

また、東証がこの取引時間延長に踏み切った背景には、2020年10月1日に発生した大規模なシステム障害が影響しています。

この障害により、すべての上場株が終日取引できない事態に陥り、バックアップ機能が正常に働かなかったことが問題となりました。その教訓を踏まえ、東証ではシステムの大幅な刷新が行われ、障害発生時の状況把握の改善や、システム再起動までの所要時間が3時間から1時間半に短縮されました。
これにより、障害発生時にも迅速な対応が可能となり、災害時のリスク対策も強化されています。


2. 取引時間延長によるメリットとデメリット

メリット

  • 取引機会の増加:取引時間が長くなることで、売買が集中しすぎずに安定した値動きが期待されます。特に午後3時台は企業の決算発表や経済ニュースが多く発表される時間帯であるため、これらの情報を即座に反映させた売買が可能になります。
  • 外国人投資家の参入増加:取引時間が欧州市場と部分的に重なることから、外国人投資家の参入がしやすくなります。これにより、東証の取引量の増加が見込まれ、価格形成の精度が向上すると期待されています。
  • 投資戦略の多様化:午後の取引時間が増えることで、デイトレーダーやスキャルピングの手法を用いる投資家も戦略を柔軟に変更しやすくなります。

デメリット

  • 投資家の負担増加:取引時間が長くなることで、特に個人投資家には精神的・体力的な負担が増える可能性があります。監視する時間が増えることで、過度な売買や焦りによるミスが発生しやすくなる懸念もあります。
  • 市場のボラティリティ上昇:取引が活発化することで、特に午後3時から3時30分にかけての値動きが大きくなる可能性があります。短時間での急な上下動はリスクも高まるため、慎重な対応が求められます。

3. 決算発表のタイミングや値動きへの影響

東証の取引時間延長によって、特に決算発表のタイミングとそれに伴う値動きに変化が生じる可能性があります。終了時間が午後3時30分に延長されることで、発表直後にリアルタイムで株価が動く可能性が高くなります。

11月上旬に始まる東京証券取引所の取引時間延長は、9月中間決算発表のピークと重なるため、企業の決算発表の時間帯が注目されています。

現在、多くの企業は取引終了直後の午後3時から3時29分に決算を発表していますが、東証が10月3日時点で集計したデータによると、今年の4~6月期の決算をこの時間帯に発表していた1103社のうち、約半数の500社ほどが今後も同様の時間に開示する予定だとしています。

一方、午後3時半以降に発表時間を遅らせると回答した企業は約200社、逆に午後3時より早く発表する企業は50社強に留まっています。

このように、一部の企業が取引中に決算を発表することになるため、自動売買の影響で株価の変動が激しくなる可能性も考えられます。


4. 投資家が注意すべきポイント

今回の取引時間延長により、特に以下の点に注意が必要です。

  • 決算発表のスケジュール確認:決算発表のタイミングが変更される可能性があるため、企業のIRページや東証の公式発表を定期的に確認する習慣をつけましょう。取引時間内に発表される場合には、その内容が株価に即座に反映される可能性があるため、柔軟な対応が求められます。
  • デイトレーダーにとっての戦略見直し:デイトレーダーにとっては、午後3時台に新たなチャンスが生まれる一方で、短時間での急な値動きには注意が必要です。ボラティリティの上昇を見込んだリスク管理が不可欠です。
  • 外国市場の動向把握:取引時間が欧州市場と重なることで、海外の経済指標や政治ニュースが日本市場に影響を与える可能性が高まります。そのため、外国市場の動向も含めた情報収集が重要となります。

まとめ

東証の取引時間延長により、日本株式市場はさらに流動性が高まり、投資家にとって新たなチャンスが増えると期待されています。

しかし、その反面でデイトレーダーの負担増加やボラティリティの上昇といったリスクも考慮する必要があります。特に決算発表のタイミングや内容に基づいた値動きが即座に反映される可能性が高まるため、柔軟な対応力が求められるでしょう。

取引時間延長をきっかけに、日々の情報収集とリスク管理を強化し、日本市場の変化にうまく適応することで、今後の投資成果を向上させましょう。

また、銘柄選択の方法(スクリーニング)や株についての記事も書いているので参考にしていただければ!
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